2025/3/3 12:15

『CM』気持ち悪い炎上も「アマゾンで1位に」、逆に宣伝効果だったか

赤いきつねうどんAmazon

東洋水産が2月16日に公開した「赤いきつねうどん」のウェブCMをめぐり、一部から「不快」「気持ち悪い」との批判的な声が続出する一方、「何が問題なのかわからない」という反論も出るなどして議論を呼んでいた事案。東洋水産はコメントを出さずにメディアの取材にも応じず、当該ウェブCMも削除せずに公開を続けて、騒動に「無視」の姿勢を貫いているが、ECサイト「Amazon.co.jp(アマゾン)」では「うどん」カテゴリーの「人気のギフト商品」で一時、1位にランクイン。騒動やそれに対する同社の姿勢が逆に宣伝効果や同社への支持を生み、好調な販売につながっているのではないかという見方も出ている。同社の対応および結果をどう評価すべきか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」「やきそば弁当」などの即席めん、「マルちゃん焼そば」などのチルド麺、冷凍食品、レトルト食品などで知られる大手食品メーカーの東洋水産。創業は1953年(昭和28年)、横須賀水産として築地市場内にて事業を始め、今年で創立72周年を迎える。年間売上高は4890億円、従業員数(連結)は約4700人に上る大企業であり、営業利益率は13.6%と健全。

今回議論を呼んでいるのが、そんな東洋水産の看板商品である「赤いきつねうどん」のウェブCMだ。一人の女性が暗い部屋でテレビを見ながら涙を流し、頬を赤くしながら出来立ての「赤いきつね」を食べるというだけのアニメーション。主人公は上下長袖の服を着用しているため肌の露出もないが、動画公開直後から前述のように批判的な声が相次ぐ一方、特に問題はないという反論も多数上がる事態となっている。

 注目されているのが、東洋水産の対応だ。CMや広告などが一部から批判されると、すぐに削除したり謝罪コメントを発表する企業も多いなか、東洋水産は一貫して沈黙。この姿勢に賛同してか、サッポロビール、フジッコ、アース製薬など多くの企業が東洋水産の公式Xアカウントをフォローする動きをみせている。たとえばタニタの公式Xは「恐がることはないんだよ。友だちになろう」とポストし、これに対し東洋水産が「タニタさんからお返事きた。震えながら、とりあえずフォロバしました…(うちの体重計がタニタ製であることを祈るばかりです)」と反応したことも話題を呼んだ。

こうした異例の展開が続くなか、消費者の間では不買運動が広がるどころか、逆に販売が好調なのではないかという見方も出ている。たとえば「アマゾン」では一時、「うどん」カテゴリーで「ベストセラー1位」に、「うどん」カテゴリーの「人気のギフト商品」でも一時、1位にランクイン。商品ページ上では「過去1か月で2000点以上購入されました」、(「マルちゃん」ブランドについて)「10万人以上が直近3カ月にこのブランドの商品を購入」「93%の高評価を3万人以上から取得」といった記載がみられる。少なくても騒動が販売にマイナスの影響をおよぼしている様子はうかがえないが、これを受け、SNS上では以下のような声があがっている。
<CMアニメ大成功>

<スーパー行ったら赤いきつねは売り切れてました>

<大勝利>

<応援してる>

 食品メーカー関係者はいう。

「即席めんの『うどん』市場では東洋水産の『マルちゃん』と日清食品の『どん兵衛』が2強ですが、各種ECサイトなどでの状況を見る限り、両者はほぼ拮抗した人気を誇っているという印象です。東洋水産の対応は結果的には悪い影響を生まなかったといえ、その意味では成功だったと評価できるかもしれません。ただ、実際のCMの内容や、それに対するマジョリティーやネット上で大きな影響力を持つ人々の反応、同時期に似たような事例がほかにも起きていたのかどうかなど、さまざまな複合的な要因が重なった結果、そうなったという面もあり、仮に違うタイミングで起きていたら、また違う結果になっていた可能性もあるかもしれません。また、騒動に対して『無視』の姿勢を取るというのは、『毅然としている』と好意的に受け取られるケースもある半面、『逃げている』などと否定的な受け取られ方をしてしまう可能性もあり、リスクのある方法であることは確かでしょう。メディアなどの取材に対しては『特にお答えすることはありません』などと、なんらかのかたちで『当社としては問題があるという認識ではない』旨を表明していくというのが、一般的な対応になってくるとは思います」

と、ビジネスジャーナルが報じた。

東洋水産が赤いきつねCM炎上で「無視」貫く→アマゾンで1位…逆に宣伝効果? | ビジネスジャーナル東洋水産が赤いきつねCM炎上で「無視」貫く→アマゾンで1位…逆に宣伝効果? | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部