2025/3/3 13:58

今期数少ない『勝ち組ドラマ』綾瀬はるか絶賛の「初主演女優」

綾瀬はるか

女優の市川実日子が主演を務めるバカリズム脚本のドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系)が、今期ドラマの数少ない「勝ち組」になっている。市川は「通好みのバイプレイヤー」というイメージが強かったが、民放連ドラ初主演となった今作をきっかけに主演クラスとしての需要が大きく高まりそうだ。

 46歳にして「主演女優」としても覚醒しそうな市川の業界内の評価や今後について、ドラマ・映画の世界に詳しい芸能記者が解説する。


 『ホットスポット』は、2023年1月期に話題を呼んだ同局系ドラマ『ブラッシュアップライフ』の脚本を務めたバカリズムと制作チームが再集結したオリジナルドラマ。富士山麓のビジネスホテルに勤めるシングルマザーの遠藤清美(市川)が、宇宙人に出会ったことから物語が始まる「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー」という、前作以上にぶっ飛んだ内容になっている。

 視聴率はさほど高くないものの、第1話のTVerの再生数が早々に300万回を突破。TBS系日曜劇場『御上先生』などとTVerの再生数で上位争いをしているが、NetflixやHuluでは『ホットスポット』が1位を獲得している。SNSではストーリーの考察がブームになっており、近年のヒット作らしい盛り上がりを見せている作品だ。

どんな役にも染まるバイプレイヤー

 前作同様に「会話劇の面白み」がメインになっているのが特徴で、鈴木杏、平岩紙、木南晴夏、池松壮亮、夏帆、坂井真紀、角田晃広、小日向文世ら実力派キャストの演技を存分に堪能できるが、そのなかでも改めて演技力の高さと存在感を視聴者に印象付けたのが主演の市川だ。

「当初は市川実和子の妹として雑誌『Olive』(現在は休刊)に登場。1994年に約27000人の中から正式に同誌の専属モデルに選ばれ、以降は数々の女性ファッション誌に登場して同性から支持を集めたが、当時はカリスマ的な人気を誇っていた姉の影に隠れている印象もあった。『Olive』の専属モデルを卒業した1998年、ファッション誌を中心に活躍していた売れっ子カメラマン・ホンマタカシが手掛けた短編映画『HOW TO 柔術』で、姉よりも先に女優デビュー。その前から女優のオファーはあったらしいが、モデルがお芝居をやることに抵抗があって断っていたそうです。

 もともと控えめな性格で、自己主張が強いタイプではないが、真摯に仕事に取り組む姿勢が評価されて、早くから映画業界で頭角を現し、2001年に出演した『とらばいゆ』で毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞。映画初主演作となった2002年の『blue』では、第24回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞した。


 さらに同じく2002年に出演したドラマ『サイコドクター』(日本テレビ系)で第35回ザテレビジョンドラマアカデミー賞 新人俳優賞を受賞し、2004年には『天花』(NHK)で朝ドラ初出演、2008年には『篤姫』(同)で大河初出演とドラマでも活躍。圧倒的なオーラを放つ主役タイプではなく、どんな役にも染まるバイプレイヤーとして、静かに存在感を示していった」

 バイプレイヤーとしての評価が高く、SNSを一切やっていないためにミステリアスな印象があるのも魅力的だ。

「第40回日本アカデミー賞優秀助演女優賞や第71回毎日映画コンクール女優助演賞を受賞した『シン・ゴジラ』で演じた尾頭ヒロミも、環境省自然環境局野生生物課課長補佐という難しい役どころを好演。“これみよがし”ではなく抑制されたクールな演技で説得力を持たせた。その後も『三度目の殺人』(是枝裕和監督)、『ナラタージュ』(行定勲監督)、『DESTINY 鎌倉ものがたり』(山崎貴監督)、『よこがお』(深田晃司監督)など、世界的に評価の高い映画監督の作品に起用され続けたことからも、バイプレイヤーとしての信頼の厚さがうかがえます。

 どこか謎めいたイメージがありますが、2024年に出演した『À Table! ~ノスタルジックな休日~』(BS松竹東急)に関連したインタビューで、雑誌『暮しの手帖』を10代の頃から愛読し、普段から素材重視の健康的な料理を好み、食器にもこだわるなど、丁寧な暮らしをしていることを明かしています。そうした清冽なライフスタイルが、自然体の演技に結び付いているのは間違いないでしょう」

綾瀬はるかが称賛…実は情熱家

 今作をきっかけとして、市川は脇役で光るだけでなく、独特の魅力を持った「主演女優」としても業界注目度が高まりそうだ。

「2013年に『八重の桜』で共演して以来、親交が深い綾瀬はるかは、ファッション誌『GINZA』のWEB版で連載しているコラムで、市川について『みかこちゃんと話していると凄くポジティブになれる』『クリエイティブで熱くて家族のように親身』『とっても敏感で繊細で、感性が鋭く』などと絶賛。市川に関しては、雑誌やウェブのインタビューなどにおいても、自分の考えをしっかり言語化してくれると業界内で評判で、おっとりしたイメージからは想像もつかない情熱を内包している。


 だからこそ『ホットスポット』でも、バカリズムの描き出す世界観を深く理解して、どの共演者とも絶妙な間合いでやり取りを繰り広げ、シュールでとぼけたドラマにも違和感なく溶け込んでいるのでしょう。今後も年齢を重ねて、より演技は熟練していくでしょうが、どちらかというと“静”なイメージを覆すような、激情型のキャラクターを主演として演じる姿も見てみたい」

 まだまだ新たな一面や引き出しがたくさんありそうな市川。バイプレイヤーとしては誰もが認めるところだが、「主演女優」としてはどのような成長や進化を見せてくれるのか。さまざまな意味で今後が楽しみな存在といえそうだとサイゾーオンラインが報じた。

市川実日子『ホットスポット』好調で高まる主演女優として価値…「通好みの脇役」から新たなステージへ | サイゾーオンライン/視点をリニューアルするニュースサイト市川実日子『ホットスポット』好調で高まる主演女優として価値…「通好みの脇役」から新たなステージへ | サイゾーオンライン/視点をリニューアルするニュースサイト

編集者:いまトピ編集部