『TVer』発表、出稿企業数2138社ほぼ2倍に

2025年4月クールのドラマ視聴データから、テレビ業界における視聴動向の変化が浮き彫りになった。
かつては視聴率がテレビ番組の評価基準の中心だったが、今やTVerのような見逃し配信サービスがその牙城を崩しつつある。
TVerの登録者数とリアルタイム視聴率のデータを比較すると、視聴者の視聴スタイルが大きく変化していることが明らかだ。
『続・続・最後から二番目の恋』は、シリーズファンの支持を背景に視聴率(約8.0%)とTVer登録者数(約116.8万件)の両方で高い数値を記録。『キャスター』は社会派ドラマとして、視聴率11.5%とTVerの85.1万件の登録者数を両立する成功例だ。
この視聴スタイルの変化により、広告主も従来の視聴率依存から、視聴者の接触ポイントを重視する戦略にシフトしている。
「ターゲティング広告の拡大」
TVerのようなプラットフォームは、視聴履歴や興味関心に基づく精密な広告を配信できる。
さらに、TVer社は2024年度の自社広告の売上高が前年同期比221%に達したと発表した。
具体的な金額は非公表だが、広告を出稿した企業数は2138社に達し、前年の1139社からほぼ2倍に拡大している。
また、電通がまとめた「テレビメディア関連動画広告」の市場規模は、令和6年で653億円に達し、前年の443億円から大幅に増加。これは、ドラマやバラエティに加え、パリ五輪などのスポーツコンテンツが大きく寄与したとされている。
さらに、TVerはこれまでのB2B2Cモデルから、より視聴者に直接アプローチするD2C(Direct to Consumer)モデルへのシフトも進めている。
これには、視聴者のデータを活用したパーソナライズド広告や、直接的な視聴者エンゲージメントの強化が含まれる。
具体的には、広告主が視聴者の興味関心や視聴履歴に基づき、細かくターゲティングできる仕組みが導入されており、これが売上高の急増を支える要因に。
同社広報も、「この機能を利用する広告代理店が急増している」とコメントしており、広告市場におけるTVerの存在感がますます強まっていることがわかる。
視聴率至上主義の時代が終わりを迎えつつある中で、広告主やメディア各社は新たな視聴スタイルに適応する必要があるだろう。
視聴者は「いつでも、どこでも」視聴できる利便性を求め、それに応えるためのデータドリブンな広告戦略が今後の成長の鍵となる、と週刊実話WEBが報じた。
編集者:いまトピ編集部