2025/5/13 11:59

2日間『スシロー』国内全店舗「一斉休業」きょうから

スシロー

回転寿司チェーン「スシロー」が明日5月13日から14日までの2日間、国内全店舗で一斉休業する。大手外食チェーンで複数日にわたり全店舗を一斉休業するというのは異例だが、なぜ従業員が個別で休暇を取得するかたちではなく一斉休業という形態をとるのか。また、スシローは毎年、一斉休業を行っているが、どのような効果が生じているのか。運営会社であるFOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)に取材した。

全国に646店舗(2024年9月末現在)を展開し、売上高、店舗数ベースでは国内回転寿司チェーン業界1位のスシロー。一皿120円(税込)からという低価格でおいしい寿司が食べられる点が特徴だ。レギュラーメニューとしては「厳選まぐろ赤身」「サーモン」「生えび」「煮あなご」といった定番ネタを120円(店舗によって異なる/以下同)で提供。このほか、「濃厚えび味噌ワンタンメン」(390円)、「モッツァレラチーズ天ぷら」(280円)などサイドメニュー、「わらび餅と大学芋のどっちも盛り」(230円)、「カタラーナアイスブリュレ」(230円)といったスイーツも充実している。

業績は好調だ。F&LCの24年10月〜25年3月期の連結決算は、売上高にあたる売上収益が前年同期比16%増の2038億円、純利益は63%増の118億円。25年9月期は、純利益が前期比30%増の190億円と過去最高になる見通し。注力する海外事業も順調に推移しており、現在200店超ある海外店舗数を26年9月期までに310~320店に、26年度の海外事業の売上収益を1620憶円に伸ばす計画を示している。
24年9月期通期の決算説明資料によれば、香港・台湾では積極的な出店も奏功し、引き続き業績好調を維持。中国大陸では景気低迷の影響を受けるも業績は改善傾向であり、同決算期下期には新規エリアの天津に3店舗、北京に2店舗を出店し、特に北京1号店では連日満席の盛況が続く。韓国では昨年9月末に4年ぶりとなる新店を明洞にオープンし、平均日販は連日韓国内のスシロー店舗上位に入る好調な滑り出しを切っており、「デジロー」を武器に更なる集客を目指す。タイでは小商圏フォーマットなど複数の収益モデルを確立したことで、出店可能エリアが拡大。
シンガポールでは昨年8月にオープンしたThomson Plazaはシンガポール内のスシロー店舗で1位に並ぶ売上を計上しており、好業績をけん引。インドネシアでは昨年度に4店舗を出店し、商品と接客の質の高さを武器に他社との差別化を図っている。また、米国・ボストンに杉玉をモデルにしたすし居酒屋「酒林」を昨年4月にオープンさせている。

そんな勢いに乗る同社が、国内全店舗の一斉休業を行う理由は何か。F&LCは次のように説明する。

「『より働きやすい環境づくり』を検討する中で、2019年に同じ店舗の人とコミュニケーションをとることや、家族と過ごすため『店舗が一斉に休める休業日がほしい』という声があったと確認しております。こういった従業員の声をもとに一斉休業を検討し実施しました。それ以降、従業員やそのご家族からの高い反響を受け引き続き『より働きやすい環境づくり』一環として実施を継続しております。従業員は有休を取得することで個別の休暇も取得できます」

スシローは毎年、一斉休業をしているが、どのような効果が生じているのか。

「従業員からは以下のような反響を得ております。
『家族と過ごすことができ、心身ともにリフレッシュすることができた』
『休みの日に同じ店舗の仲間とコミュニケーションが取れた』」(F&LC)

2日間の全店休業は、売上減など業績に一定の影響が出ると考えられる。

「業績全体に与えるインパクトは、現時点では軽微なものと捉えております」(F&LC)

外食チェーン関係者はいう。

「一般的に外食チェーンの店長やエリアマネージャーなどの社員の場合、休暇を取得しても店舗で何か問題が生じれば出勤しなければならないし、スタッフから電話で問い合わせがくるというのは避けられません。要は店が営業している以上は、いくら自分が休暇を取得していても、気が休まらないという状況に陥りやすい。なので、強制的に一斉休業になるというのは、社員本人のみならず家族にとっても、非常にありがたいことでしょう。

また、飲食業界は以前からキツイというイメージがあり敬遠されがちな上に、昨今の人手不足が重なり、人材の確保・維持に苦労していますが、スタッフの離職を防ぐうえで重要な要素となるのが、職場の良好な人間関係です。一斉休業によって職場のスタッフ同士が遊びや食事に行って親睦を深めてくれれば、離職防止にもつながります。よって、さまざまな面を踏まえると、スシローの一斉休業というのは、世間の想像以上に大きな効果があると考えられます」

とのことだとBusiness Journalは報じている。

スシローの「全店一斉休業」が想像以上に大きな効果があるといえる理由…離職防止も | ビジネスジャーナルスシローの「全店一斉休業」が想像以上に大きな効果があるといえる理由…離職防止も | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部