佐々木朗希、渡米前の「警告」が現実のものに

結論から言えば、やはりメジャーリーグの高い壁に跳ね返された、ということだろう。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は5月13日、佐々木朗希が腕に痛みを訴えていると記者団に明かし、その後、故障者リスト入りした。
今季8試合に先発して1勝1敗、防御率4.72。34回1/3を投げて24奪三振を記録したものの、25四死球を重ね、平均球速は98マイル(約158キロ)から96マイル(約154キロ)へと低下した。フォーシームの空振り率は10.1%にとどまり、かつての怪物ぶりは影を潜めている。
直近の登板では4回5安打5失点で61球を投じた後、右腕の張りを訴えた。ロバーツ監督は「腕の状態を慎重に見極めている」と語っていた。
ロッテ時代の佐々木は最速165キロをマークし、完全試合を達成するなど、飛び抜けた球威を誇った。ところがメジャーリーグでは球数制限の厳しさや高い連投耐性が求められ、その持ち味を十分に発揮できる状況にはない。
野球解説者の武田一浩氏は自身のYouTubeチャンネルで、次のように提言している。
「もともと、打たせてとる投球が得意ではない。中5日での登板で奪三振ゼロに終わった現状を見ると、まずはマイナーリーグで制球力を磨くべきだ」
一方、球界のご意見番たる広岡達郎氏は渡米前から、
「NPBはメジャーの踏み台ではない。実績不足のまま挑戦すれば、失敗に終わる」
と警鐘を鳴らしていたが、その見立てが現実のものとなっている。
インスタグラムのドジャース公式アカウント・コメント欄には「故障者リストに入っても応援している」「スタジアムで再び輝く姿を見たい」といった激励がある一方で、「まずは日本で経験を積んでほしい」「焦らず土台を固めてから来てほしかった」といったガッカリ感が根強い。
佐々木はロッテで4シーズン通算394回2/3を投げているが、1年平均100イニングに満たない。メジャーリーグには「1試合最低1イニング投球」(162試合=162イニング)というタイトル資格があり、実際の先発投手は1試合平均5.24イニング、年間32試合登板すると、約168イニングを消化しているというデータがある。経験値には大きな隔たりがあるのだ。
移籍後わずか数カ月で不調と故障に直面した現状は、まさに挑戦時期が早すぎた証左だろう。才能を本領発揮するにはまず体力と耐久力を養い、イニングを重ねる時間を持つ必要がある。焦らず再び土台を築いた上で、「令和の怪物」が真価を世界に示す日を待ちたいとアサ芸プラスが報じた。
編集者:いまトピ編集部