2025/6/11 16:23

昨年30周年、そろそろ限界か「いろいろな人にクビを宣告してきた」

足

昨年30周年を迎えた『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)が岐路に差し掛かっている。人気企画『ゴチになります!』から脱却するべく次々と新企画に挑戦するも、どれもクリーンヒットには至らず、「ゴチ」の呪縛から逃れられない状態が続いている。


「ゴチバトルは今年でシーズン26。近年はコスプレをしている有名人を当てる『ダレダレ?コスプレショー』、芸人軍団がプロの料理人と料理対決をする『鉄人VS凡人シェフ軍団』、タレントがイメチェンに挑戦する『前髪ぱっつんチェンジ』など、ゴチ以外の企画を投入してリフレッシュを図っていますが、なかなか結果が出ません。

今年に入って『ぐるナイ』は娯楽番組の視聴率ランキングBEST10に9回入っていますが、そのうち8回はゴチの放送回。ゴチは安定して好視聴率を取りますが、それ以外の企画だと数字が下がる傾向が顕著です。『アバター大喜利』や『音が鳴ったらダメ家族』といったコーナーも何回か放送されましたが、不発過ぎて続かない」(テレビ情報誌記者)

人気企画ばかりに頼らず、果敢に新コーナーにトライする姿勢は評価すべきだが、不動の大エースに代わる存在は簡単には見つからない様子。しかも、その大エースにも陰りが見えている。

「かつてはピタリ賞が出るとネットは大騒ぎとなり、クビが決まるシーズン最終戦や新年の新メンバー発表回は裏番組を圧倒する力がありましたが、今や“並の人気番組”に。昨年の大晦日に放送された『大晦日もゴチになります!SP』も6.4%(ビデオリサーチ。関東。世帯)しか取れず、2ケタを超えた『ザワつく!大晦日』(テレビ朝日系)に大きく水を開けられました。

料理の金額発表をする度にCMを挟み、結果発表にやたらと時間を掛けるやり方には“ウザい”“イライラする”という声が絶えませんし、2023年には新メンバー発表が週またぎで行われたため、SNSにクレームが殺到しました。いろいろな企画に挑戦するも、結局はゴチ頼みになってしまう状況は、『食わず嫌い王決定戦』ばかりやっていた『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の晩年にそっくりです」(民放バラエティ番組制作関係者)

さらに忍び寄るのが“肩叩き”のピンチだ。冒頭で述べた通り、『ぐるナイ』は昨年30周年を迎えた長寿番組だが、いつまでも安泰というわけではない。

「日本テレビは長らく視聴率三冠をキープする絶対王者でしたが、長らく2位に甘んじていたテレビ朝日が昨年、W三冠(個人全体・世帯ともに三冠)奪取を達成。このため日テレは番組編成を見直し、春の改編では『行列のできる相談所』や『ズームイン!!サタデー』が終了しましたが、まだまだ長寿番組にメスが入りそうです。その候補として名前が上がっているのは、『世界まる見え!テレビ特捜部』と『踊る!さんま御殿!!』、そして『ぐるナイ』。いずれも1990年代にスタートし、今も人気番組ですが、そろそろ新陳代謝が必要な時期に差し掛かっています」(同上)

誰もが薄々「そろそろかな……」と気付いているのに、どうして長寿番組を切るのは難しいのか。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏はこう語る。

「まず出演者が嫌がるからです。長年やっていればギャラはベースアップしますし、長く続けていると勘所も掴めてきて、安定収入にも繋がる。プロデューサーにしても、自分の代で終わったとは言われたくない。また、番組は制作会社と紐づいていることが多いので、番組を終わらせると制作会社側も路頭に迷ってしまいます。

時代の流れも関係しています。バラエティが元気だった1990年代に多くの番組が作られ、2000年代を通過して今がありますが、その間、経済は下向きでした。例えばリーマンショックやコロナなど、悪い時に番組をやめるのはリスキーです。景気が悪いと新しいスポンサーは付きませんから、付いてくれているスポンサーを大事にしたほうがいいという判断になる。結局、辞め時を失って、無理やり延命をしてきてしまったんです。

番組を長く続けていれば、視聴者の要求水準は高くなります。一方、作る側はネタ切れになって、質は低下する。ですから、飽きられたと思ったら辞めた方がいいのです。制作陣が飽きられていることに気づいていないのかというと、絶対にそんなことはない。数字とか周囲の反響だとか、“そろそろ限界なのかも”とは認識しているはずです」(鎮目氏)

そろそろ“終活”に入る必要がありそうな『ぐるナイ』。問題は辞め方だ。ゴチバトルは「一番金額が離れていた人が全額支払う」「年間で最も支払額が多かった人がクビ」というルールだが、どのように締めくくれば良いのか? 前出・民放バラエティ番組制作関係者は「最終年度はクビメンバーへの興味はもたせられない。そうなると、歴代メンバーを呼んで、年間1位ならこれまで払ったお金を全額返してもらえるとか、後続番組のレギュラーになれる権利をもらえるとか、ご褒美を与える方向しかないのでは」と話す。

鎮目氏は、バラエティが置かれた状況について、こう語る。

「今までは新しい番組をやって数字が取れないリスクより、定番番組の確実性を見込んでいました。中高年が見てくれていたからです。しかし、時代とともに事情は変わってきました。今の40代、50代はもうスマホを普通に使いこなし、テレビよりも配信といった視聴習慣は、もはや若者だけではありません。なおかつ、視聴者の飽きる速度が年々早くなっていて、同じMCによる定番番組を続ける意義はもう失われているといっていいでしょう。

さらにここに来てジャニーズ問題や松本人志、中居正広など、大きな問題が立て続けに起きて、テレビ界は大きく変わらざるを得ない状況になっています。逆に、今変えなければ、いつ変えるのかと。番組が飽きられたらやめるか、休んで第2シーズンができたらいいですが、日本の番組作りはそういう仕組みになっていません。バラエティもメインのMCを替えたらだいぶ印象は変わるのに、芸能事務所のしがらみなど、一蓮托生になっている部分があります。そういう意味で『ぐるナイ』も、やめるにせよやめないにせよ、新陳代謝は考えるタイミングではないかと。でないと、今後もう変えるタイミングを完全に逸してしまいそうです」

いろいろな人にクビを宣告してきた同番組。そろそろ自分たちの番を覚悟かとサイゾーオンラインは報じている。

『ぐるナイ』放送31年目に漂う『ゴチバトル』の呪縛…不発続きで「いつ辞めるか」リアルチキンレース | サイゾーオンライン/視点をリニューアルするニュースサイト『ぐるナイ』放送31年目に漂う『ゴチバトル』の呪縛…不発続きで「いつ辞めるか」リアルチキンレース | サイゾーオンライン/視点をリニューアルするニュースサイト

編集者:いまトピ編集部