2025/6/15 11:25

『日本最大マッチングアプリ』世界進出へ

不倫

●この記事のポイント
・恋活・婚活マッチングアプリにおいて国内利用率No1の「ペアーズ」が韓国に進出する。国内で培った知見を生かし、海外展開をしていく第一歩として韓国市場を選んだ。
・韓国国内にも「ゴールドスプーン」や「WIPPY」のほか、「Tinder」などのグローバルアプリなど、競合となるマッチングアプリは存在する。そのなかでペアーズは、まったく異なるポジションを確立できると語る。

 現代においてマッチングアプリは、恋活・婚活における重要な選択肢の一つとして、多くの人々に利用されている。スマートフォンの普及とライフスタイルの変化を背景に、その市場は拡大の一途をたどっており、出会いのインフラともいえる存在になりつつある。

 日本発のマッチングアプリ「ペアーズ」は、株式会社エウレカが運営する国内最大級の恋活・婚活マッチングアプリだ。2012年のサービス開始以来、累計登録数は2500万を突破 。豊富な会員数と、居住地や年齢、趣味嗜好など、多様な条件で相手を検索できる機能が特徴で、多くのユーザーに支持されている 。

 エウレカは2015年に米国の大手マッチングアプリ運営企業Match Groupに買収され、その傘下に入った 。Match Groupは、「Tinder」「Hinge」など世界的に有名なマッチングアプリを多数運営しており、エウレカは、そのグローバルなネットワークとノウハウを活用しながら、事業を拡大している。


 今回、エウレカがペアーズのアジア展開の第一弾として選んだのは、韓国市場だ。日本で培ったノウハウを武器に、韓国市場を”攻略”し、さらなる成長を目指す。本稿では、ペアーズの韓国進出の背景、戦略の詳細、そして今後の展望について、ペアーズ 広報担当者へのインタビューを交えながら、深く掘り下げていく。

ペアーズ広報担当者に聞いた

――ペアーズというサービスについて、改めてご紹介いただけますでしょうか。

広報担当 はい、ペアーズは株式会社エウレカが運営する 恋活・婚活マッチングアプリです。2012年のサービス開始以来、多くの方にご利用いただき、累計登録数は2500万を突破しています。

 ペアーズの強みは、豊富な会員数と、多様な価値観や条件で相手を検索できる機能です。居住地や年齢、趣味嗜好はもちろん、「本音マッチ」という機能では、内面的な価値観も重視したマッチングが可能です。

 また、安心・安全にご利用いただける環境づくりにも力を入れています。公的な本人確認システムを導入したり、24時間365日の監視体制を整えたり、様々な対策を実施することで、ユーザーの皆様に安心して出会いを探していただけるサービスを目指しています。

――今回、ペアーズがアジア展開、そして韓国市場に進出することになった狙い、背景、経緯について教えてください。

広報担当 我々エウレカは、「誰もが出会うべき人と出会える世界をマッチングアプリで実現する」というビジョンを掲げています。


 このビジョンに基づき、多くの方に、かけがえのない出会いを提供するための手段の一つとして、海外展開を決断しました。日本国内においては、マッチングアプリは、すでに出会いの手段として一般化しており、多くの方が利用しています。こども家庭庁の調査によると、既婚者の4人に1人以上がマッチングアプリをきっかけに出会っているというデータもあります。

 このような状況を踏まえペアーズは、日本で培ったノウハウを生かし、アジア市場でさらなる成長を目指すことになりました。

――数あるアジアの国の中で、最初に韓国を選んだ理由は何ですか。

広報担当 アジアには、インド、台湾など、様々な規模のマッチングアプリ市場がありますが、韓国市場には、特に大きなポテンシャルを感じています。具体的な数字で見てみると、韓国の若年層人口は、日本の約2分の1であるのに対し、マッチングアプリの市場規模は、日本の約4分の1にとどまっているというデータがあります 。



 この数字は、韓国のマッチングアプリ市場が、まだ成長段階にあり、今後の拡大が期待できることを示唆しています。また、日本市場の変遷も参考にしています。日本においては、当初、カジュアルな出会いを目的としたアプリが普及しましたが、その後、ペアーズのような「真剣な出会い」を求めるアプリが市場を確立しました。

 韓国市場は、現在、カジュアルデーティングアプリが主流ですが、今後は、日本と同様に、真剣な出会いを求めるアプリの需要が高まると考えています。

――韓国市場は、具体的にどのような特徴を持っているのでしょうか。

広報担当 韓国は、日本と文化的に近い部分も多いですが、恋愛においては、感情表現が豊かで、積極的な国民性も持ち合わせています。そのため、一概に「奥手」な国民性とは言えません。現在の韓国のマッチングアプリ市場は、カジュアルデーティングアプリが主流です。しかし、真剣な出会いを求めるユーザー向けのアプリも存在します。ただし、これらのアプリは、非常に個性的なコンセプトを持つ、厳格な審査基準を設けている、など、ユーザー層が限定されている傾向があります。

 例えば、100個以上の質問に回答する必要があるアプリや、学歴や年収などの条件で相手を絞り込むアプリなどが挙げられます。これらのアプリは、結婚を真剣に考えているユーザーにとっては有効かもしれませんが、ユーザー規模が拡大しにくいという側面があります。ペアーズは、日本で培ってきた「真剣な出会い」を求める幅広いユーザーに支持されるアプリとしてのノウハウを活かし、これらのアプリとは異なるポジションを確立することで、韓国市場での成功を目指します。

――韓国市場における競合サービスと、ペアーズの強みについて、もう少し詳しく教えていただけますか。競合サービスとして、大きく分けて厳格な審査を特徴するアプリとカジュアルデーティングアプリがあると思いますが、それらとペアーズではどのような違いがあるのでしょうか。
 ・厳格な審査を特徴とするアプリ:「ゴールドスプーン」など、学歴や年収などの条件 で相手を絞り込むサービス。これらのアプリは、いわば「エリート向け」のマッチングアプリといえるかもしれない。
 ・カジュアルデーティングアプリ:「Tinder」などのグローバルアプリや、「WIPPY」などの韓国国産アプリが挙げられる。これらは、気軽な出会いを求めるユーザーが多く、比較的若い年齢層に人気がある。


広報担当 これらのサービスと比較したペアーズの強みは、
 ・真剣な出会いを求めるユーザー向けのアプリとしての実績
 ・幅広いユーザーに利用されているアプリとしての規模
であると考えています。ペアーズは、これらの競合サービスとは異なるポジションを確立することで、韓国市場で新たな価値を提供できると確信しています。

――韓国市場での具体的な事業戦略や、今後の展望について教えてください。

広報担当 詳細は公開しておりませんが、記者説明会ではCEOの山本竜馬から「アジア展開」として発表しました。我々が日本で培ってきた、真剣な出会いのためのアプリとしてのノウハウを、韓国をはじめとするアジア各国でどのように展開し、受け入れてもらえるか。これが、我々の重要な挑戦となります。

――韓国展開において、日本でのノウハウをどのように生かそうと考えていますか。

広報担当 ペアーズが持つ価値を最大限に届けるために、日本で培ったサービスをベースとしながらも、現地の特性に合わせてアプリを最適化する「One app戦略」を採用しています。最適化のポイントは大きく分けて二つあります。

1.価値観マッチング機能の最適化
ペアーズの強みである「本音マッチ」は、プロフィールに書きにくい本音の条件や価値観を共有し、マッチングをサポートする機能です。韓国展開にあたっては、現地のユーザーの価値観に合わせて質問項目を最適化しました。

2.基本構造の最適化
安全・安心なサービス提供のために、現地の公的本人確認システムに対応することが重要です。日本版のペアーズでは、マイナンバーカードのICチップ読み取りによる本人確認を導入していますが、韓国では「PASS」というアプリを経由した本人確認システムに対応しました。その他、UIの変更やバックエンド・インフラの改修なども行い、グローバル展開に対応できるアプリへと進化させています。



――韓国で得た知見を、日本でのサービスに生かすことは考えていますか。

広報担当 現時点ですぐに日本に逆輸入できる機能があるとは考えていませんが、「現地の本音に最適化する」という今回の取り組みは、今後の日本でのサービス改善にも応用できると考えています。

 例えば、「本音マッチ」の質問項目や、新しい価値観の軸などが、日本ユーザーにとっても有益な情報となる可能性もあります。常にユーザーのニーズを把握し、サービスを改善していく姿勢は、日本でも韓国でも変わりません。

――ペアーズ全体の今後の展望について、お話できる範囲で教えてください。

広報担当 ペアーズは、マッチングアプリとして、オンラインでの出会いだけでなく、オフラインでの出会いもサポートするサービスへと進化しています。

 具体的には、コンビニエンスストアでの Pairsプリペイドカードの販売、自治体との連携による婚活支援、カラオケ店「まねきねこ」との提携によるマッチングイベントの開催など、様々な企業や団体と連携し、ユーザーの皆様に出会いの機会を提供しています 。特に、「まねきねこ」との提携は、非常に大きな反響があり、今後の展開に力を入れています。今後も、オンラインとオフラインの垣根を超えた、新しい出会いの形を提案していきたいと考えています。

――最後に、ペアーズのユーザー、そしてこれから利用する可能性のある方々へメッセージをお願いします。

広報担当 マッチングアプリが一般化してきた中で我々は、多くの方に「かけがえのない人」と出会える機会を提供したいと考えています。ペアーズを通して、実際に多くの方が結婚されていますし、我々は、ユーザーの皆様に安心してご利用いただけるよう、常にサービスの改善に努めています。

 今後も、より多くの方に「ペアーズ」をご利用いただき、素敵な出会いを経験していただけるよう、努力してまいります。

――ありがとうございました。

 ペアーズの韓国進出は、日本発のマッチングアプリが、そのノウハウと技術を武器に、グローバル市場でいかに戦っていくかを示す試金石となるだろう。エウレカが掲げる「誰もが出会うべき人と出会える世界をマッチングアプリで実現する」というビジョンは、韓国、そしてアジアでどこまで実現されるのか。今後の展開から目が離せないとビジネスジャーナルが報じた。

日本最大のマッチングアプリ「ペアーズ」、世界展開を決断…韓国進出の先 | ビジネスジャーナル日本最大のマッチングアプリ「ペアーズ」、世界展開を決断…韓国進出の先 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部