2025/6/16 18:39

阿部慎之助監督の逆鱗に触れ...

野球

西武ライオンズの佐藤龍世が中日ドラゴンズに金銭トレードで移籍したというニュースを受けて、とある「もしも」が話題になっている。「金銭で獲得できる選手ならば、巨人も動けたのではないか」というものだ。では実際、どうだったのか。

巨人は5月、将来性を期待されていた秋広優人を放出して、ソフトバンクからリチャードをトレードで獲得した。長打力を買われたリチャードだったが、1軍打率0割9分5厘と全く振るわず、サイン見落としが阿部慎之助監督の逆鱗に触れて2軍落ちしている。

このタイミングで佐藤の移籍が金銭で成立したことで、比較論が噴出。「秋広を出してまでリチャードを獲る必要があったのか。金銭で済むなら佐藤の方がよかったのでは」というものだ。本当だろうか。

その佐藤は2018年ドラフト7位で西武に入団。日本ハムへの移籍を経て、2023年に西武に復帰し、ここまで1軍通算324試合で打率2割2分7厘、13本塁打、67打点。2024年には345打席に立ち、打率2割4分4厘、7本塁打、34打点と、自己最高の成績を残した。三塁と二塁を中心に内野を複数守るユーティリティー性があり、ベンチから試合を動かす選手として一定の評価を受けていた。

ところがそんな佐藤に、思わぬ落とし穴が待っていた。開幕を目前に控えたオープン戦直前、寝坊によって集合時間に遅れたことで、規律を重視する西口文也監督の怒りを買い、3軍降格を命じられたのだ。

「寝坊したから3軍に落とした。危機感がないっていうかね。今この現状で自分がどういう立ち位置にいるのか。そこを考えれば、そういうことをしている場合じゃないので」

西口監督はそう語り、厳しく対応。その後、1軍復帰のチャンスはなく、中日移籍となった。

この「時間を守る意識」という問題は、奇しくもリチャードにも当てはまる。ソフトバンク時代、リチャードは練習試合前の集合に遅れ、当時の藤本博史監督から、

「5分前に言っても来ないから、10分前にしている。技術以前の問題」

と厳しく注意を受けた。試合開始3分前になっても相手ベンチで雑談をしていたりと、首脳陣からは時間管理に対する甘さが問題視されていた。

類は友を呼ぶではないが、リチャードとのトレードでソフトバンクに移った秋広も、時間に関する指導を受けた選手。2024年の春季キャンプでは、阿部監督が「遅刻したら使わないからな」と明言。秋広は「ジャイアンツタイム」と呼ばれる集合30分前行動を徹底できなかったとされ、開幕スタメンから外れたという。

こうした一連の経緯を見れば、巨人という球団が時間管理に対して非常に厳格な文化を持っていることは明らかだ。今回のリチャード獲得は、過去の行動歴を把握した上で、それでも更生の可能性と、ここぞという場面での一発を期待しての決断だったのだろう。時間を守るという行動は単なるルールの問題ではなく、チーム内で信頼を築くための基本的な所作であり、選手評価に直結する要素でもある。

ここで冒頭に挙げた「巨人は佐藤を獲得できたのでは」という「もしも」だが、秋広の一件を見れば、規律に厳しい巨人が「寝坊3軍男」にことさら触手を伸ばす可能性は低かったのかもしれない。

結果を出す以前に、時間を守れるかどうか。その基本的な姿勢こそが、プロとして最低限、求められる資質だろうとアサ芸プラスは報じている。

佐藤龍世「西武⇒中日トレード移籍」にまつわる「もしも巨人が…」の「素行」考察 | アサ芸プラス佐藤龍世「西武⇒中日トレード移籍」にまつわる「もしも巨人が…」の「素行」考察 | アサ芸プラス

編集者:いまトピ編集部