2025/6/17 11:20

会員数が急増『新たなイオンネットスーパー』1年で21万人を突破

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大手スーパーのイトーヨーカ堂が自前での事業運営から撤退するなど、競争が激化しているネットスーパー市場のなかで、イオンが勢いづいている。イオンは2023年7月に倉庫出荷型のネット専用スーパー「Green Beans」を開始。現在は物流拠点の誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター)から東京23区と千葉・神奈川の一部エリアに配送している。会員数はリリースから1年8カ月で50万人を突破し、順調に伸びているという。新たに2拠点の設置も決まり、首都圏での配送エリアを拡大する予定だ。だが、イオンは2008年に店舗出荷型の「イオンネットスーパー」を始めており、すでにネットスーパーには参入していたはずだ。イオンネットスーパーはほぼ全国で対応している。イオンはなぜ、新たにGreen Beansを始めたのか。Green Beans事業を運営するイオンネクスト株式会社の担当者に取材し、その目的とサービス内容を聞いた。

ネットスーパーは文字通り、ネットを通じて注文し、商品を配送してもらうサービスのことだ。商品構成は食品スーパーと同様、食料品や飲料が中心である。国内では主に2010年代以降、小売各社が参入している。発送拠点によって2つのタイプに分かれる。スーパーやコンビニなどの実店舗から発送する「店舗出荷型」と、巨大な物流拠点から発送する「倉庫出荷型」だ。

イオンは2008年に店舗出荷型の「イオンネットスーパー」を始めた。イオン北海道が異なる名称で展開しているが、これを含めればほぼ全国で対応している。一方でGreen Beansは23年に始めたばかりであり、配送拠点が誉田(千葉市)の1拠点しかまだない。なぜ倉庫出荷型ネットスーパーを始めたのだろうか。

「ECは肥大なマーケットです。しかし食品に関しては、米中のEC化率が10%を超える一方、日本のEC化率はその半分以下しかありません。諸外国のように日本のネットスーパー市場も伸びる余地があると想定されます」(担当者)

 EC化率とは、全取引に占めるECの割合のことだ。アメリカも以前は数%程度しかなかったが、コロナ禍で急激に伸びた。

「倉庫出荷型は千葉にある拠点1つで一般の食品スーパー50店舗分の出荷量に相当します。また、最大50,000品目の商品まで取り扱いが可能です」(同)

 Green Beansでは現状約3万品目を扱うが、拠点は5万品目分のキャパシティがあり、商品構成も拡大の余地がある。ちなみに一般的な食品スーパーの商品数は1万~2万前後といわれる。

 Green Beansでは1週間の鮮度保証を設けた「鮮度+(せんどぷらす)」ブランドの肉や魚、野菜類をラインナップに揃える。鮮度+の肉は真空パック詰めであり、「もやし」の場合は紙袋に詰められている。紙袋にすることなどでもやしの呼吸を促し、鮮度を保てるという。ネットスーパーでは消費者が実際に商品を手に取って選ぶわけではないため、見た目より品質や鮮度などを重視することができる。

 配達時間を1時間単位で指定できる点も強みだと担当者は話す。参考までに、他社のネットスーパーは2時間単位であることが多い。計画買い需要に対応した品揃えで、客単価は1万円強。利用者の約6割が東京都民だ。

現状、消費者の間で認知度が高いのは「イオンネットスーパー」である。23年7月にスタートしたばかりのGreen Beansは、サイト上の広告や動画広告、ポスティング等で地道に利用者を獲得していった。ECサイト上の口コミやレビュー機能も利用を促したという。会員数は1年で21万人を突破し、現在は50万人以上を擁する。

「大規模マンションがある湾岸エリアの需要も多いです。近くに小さなスーパーやコンビニしかない地域もあり、そうした方々にも利用していただいております。」(同)

 タワマンエリアには大規模なスーパーが出店していないこともある。車に乗るにしても、タワマンでは住戸と駐車場の間の上り下りに時間がかかってしまう場合がある。都市部の高齢者や子育て世帯の間で一定の需要がありそうだ。現在は千葉市の誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター:大型物流施設のこと)のみだが、26年度には八王子、27年度に久喜宮代にもCFCを構え、3拠点体制にする予定である。

「現在の配送エリアは東京23区と川崎・横浜エリアの一部、千葉県の一部に限られますが、3拠点体制では1都3県の主要エリアをカバーできます。八王子CFCは誉田CFCと同様、久喜宮代CFCは誉田の2倍程度の供給が可能で、3拠点合わせて200店舗分のキャパシティです。1500万世帯のカバーを目指しております」(同)

 未対応の埼玉県南部でも大きい需要が見込めそうだ。エリアは配送効率を考えながら拡大する。発展期にあるネットスーパー業界においてGreen Beansは普及に貢献できるのか、今後の展開に期待が高まる。とビジネスジャーナルは報じた。

イオンが立ち上げた「もう一つのネットスーパー」の会員数が急増の理由…1週間の鮮度保証も | ビジネスジャーナルイオンが立ち上げた「もう一つのネットスーパー」の会員数が急増の理由…1週間の鮮度保証も | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部