自己最高『ドラマ』視聴率16.8%、明らかな上昇傾向も「正念場」

6月30日より第14週の放送が始まった今田美桜主演のNHK連続テレビ小説『あんぱん』(午前8時~)。6月に入ってから視聴率に異変が生じている。
朝ドラ第112作『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんとその妻・小松暢さんをモデルとするフィクションのドラマオリジナル作品。
放送中の第14週では、高知新報に戦後初の女性記者として入社したのぶ(今田美桜)が、初日から取材現場に出され圧倒される。一方、嵩(北村匠海)は健太郎(高橋文哉)と共に廃品回収品を売っていたが、そんなガラクタの中からアメリカの雑誌を入手し、最先端のデザインを見て久しぶりに心が躍る様子などが描かれる。
「サイゾーオンライン」で『あんぱん』の全話レビューを連載するライターのどらまっ子AKIちゃんは、第14週以降の注目ポイントをこう語る。
「終戦を迎え、のぶは新聞社に勤めることになります。やなせ氏と妻の史実においては、2人はこの新聞社で出会っており、ここからは比較的史実に忠実なストーリーになっていくことが予想されますので、安心して見られるかもしれません。
しかし、逆にここまでのヒロイン・のぶは完全にフィクションとして描かれてきたため、その感情や行動原理の描写にリアリティを欠いていた部分があります。第13週ではその矛盾が一気に噴き出している節がありました。フィクション中心から史実中心に物語が移行するこのタイミングが脚本的にも難所になるでしょうし、視聴者離れを防ぐ上での正念場になりそうですね」
なお、週ごとの平均世帯視聴率は第10週まで15%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を推移していたが、第11週以降は16%台に乗せ、さらに20日放送の第60回では単話で自己最高となる世帯16.8%、個人9.5%を記録するなど、6月に入ってから明らかな上昇傾向が見られる。
この良い意味での異変について、前出のどらまっ子AKIちゃんは次のように話す。
「高視聴率を記録した第12週は、ヒロインであるのぶの出番はほとんどなく、主にやなせ氏がモデルとなっている柳井嵩のエピソードが描かれました。この週、嵩は陸軍小倉連隊の一員として中国に出征し、終戦までが描かれましたが、『アンパンマン』がやなせ氏の戦争体験、特に空腹のつらさから着想を得て制作されたことはよく知られていますし、このドラマの番宣でも強くアピールされていたパートなので、視聴者の興味が高かったのだと思います。
加えて、やはり実際に戦争というものが公共放送であるNHKの朝ドラで“どう描かれるか”は時代の変遷やエンタメ文化の移り変わりを知る上で、ドラマファンには大きな関心事だということでしょうね。一度興味を失って離れた視聴者が、このパートを批評的な視点から見るために戻ってきたということもあったと思いますよ」
前期の『おむすび』が平均世帯視聴率の期間平均において13.1%で朝ドラ史上最低を記録したこともあり、好調ぶりが際立ってみえる『あんぱん』。今後、のぶと嵩の関係がより濃密に描かれるとあって、さらに視聴率が上昇する可能性もありそうだとサイゾーオンラインは報じている。
編集者:いまトピ編集部