無印良品、発表

無印良品の業績が好調だ。運営元の良品計画が7月11日に発表した2025年8月期連結決算見通しは、純利益が前期比13%増の470億円と2年連続の最高益の予想となった。直近の24年9月〜25年5月期の連結決算も営業収益(売上高に相当)が前年同期比19%増の5910億円、純利益は同30%増の435億円と伸長がめざましい。3年ほど前までは伸び悩みや成長鈍化が指摘されていた同社だが、なぜV字復活を遂げているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
年間110店舗以上のペースで店舗数が純増
同社の業績が好調な要因について、経営コンサルタントでムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸氏は次のように分析する。
「一つは、出店戦略が非常にうまくいっている部分が大きいです。ここ数年は年間110店舗以上のペースで店舗数が純増となっており、これが全体の売上の上乗せになっています。加えて、600坪ほどの“儲かる店舗フォーマット”が無印良品の鉄板となっており、どのエリアに出店しても儲かるというパターンが出来上がっています。600坪というと雑貨などを中心とする専門店としては大きめの売り場面積ですが、大規模で売上がしっかりとあがる店舗が増えることで全体での売上が伸びています。また、店舗数の伸び以上に売上が伸びているのも好調の要因です。2019年時点では一店舗あたりの売上は4億4000万円ほどでしたが、24年には5億円を超え、約6000万円も増えているのです。一店舗あたりの売上をこれだけ増やすのはかなり大変ですが、全体の店舗数の増加に一店舗あたりの売上増も重なるという好循環が生まれています」
なぜ一店舗あたりの売上が増えているのか。
「化粧品関連を含むヘルス&ビューティーのカテゴリが大きく伸びています。現在は全体売上の約2割ほどですが、このままいくと3割くらいにまで拡大するのではないでしょうか。同社は10年ほど前から着々と化粧品業界の人員を採用してこのカテゴリを強化しようと商品開発に注力してきました。世の中的にも、消費者の間で、化粧品を選ぶ際に肌にいいもの、環境にいいものを使いたいというトレンドが強まっており、これが無印良品の商品にバッチリはまってきたという面もあります。
さらに、購買頻度が高い商材であるハウスウェアのカテゴリが売れている点も要因としてあげられます。ハウスウェアのカテゴリというのは要は日用品ですが、ポリ袋や台所の三角コーナーの水切りネット、掃除で使うもの、トイレットペーパー、洗剤、除湿剤、バススポンジといった、価格帯としては一個数百円程度と低価格ではあるものの、家の中で高い頻度で使用される消耗品ですので、その分、高い頻度で買い替えが発生します。これらヘルス&ビューティーとハウスウェアに食品を加えた、購入頻度が高い3つのカテゴリが強化されたことで、お客さんの来店頻度が増え、一店舗当たりの売上増につながっています。
ですので、無印良品がものすごく変わったことをやっているわけではなく、繁盛するお店の原理原則に則った取り組みを進めた結果といえます」(岩崎氏)
10~20代の客が増加
かつての無印商品は、比較的購買力の高い30~40代以上の女性層が主力の客層といわれる時期もあったが、その客層も変化しつつあるという。
「ヘルス&ビューティーのカテゴリでヒットしている『発酵導入化粧液』は10~20代に非常に売れており、この世代のお客さんが増えています。数年前から化粧品関連のパッケージデザインをリニューアルしており、見た目的にもすごくシンプルかつスタイリッシュになりました。無印良品の代表的な商品の一つに『敏感肌用化粧水』がありますが、この『敏感肌用』というは非常に日本人に刺さるキーワードでして、化粧品によって肌が荒れたり湿疹になったりして、なかなか合う化粧品がないと悩んでいる女性は少なくなく、そういう人たちが反応し始めて、客層が若い層にも広がっている点も好調の要因でしょう。あわせて、数年前に安達祐実さんがご普段使いしているコスメとして、無印良品の化粧水を紹介した動画がバズって若年層に広がったという側面もあったようです」
と、ビジネスジャーナルは報じた。
編集者:いまトピ編集部