2025/7/20 10:43

『森永製菓』売上高2289億円、米国事業も191 億円「3年間でも飛躍的な成長」...なぜ

喜び

●この記事のポイント
・発売から50周年を迎えた森永製菓の「HI-CHEW(ハイチュウ)」が海外市場で売上を拡大
・米国では2014~15年頃に全国規模のスーパーに「HI-CHEW」が採用され、認知度が向上
・欧州への進出は、海外事業成長の大きな機会と捉えアジアや米国といった既存エリアの深耕と並行して開拓

 今年で発売から50周年を迎えた森永製菓のソフトキャンディー「HI-CHEW(ハイチュウ)」が、海外市場で売上を拡大させている。ハイチュウを中心とする米国事業の24年3月期の売上高は、21年3月期時点の目標値の約2倍にあたる約191億円にまで伸長。欧州市場でも開拓が進んでおり、同社はハイチュウグローバル推進室を設置してハイチュウの海外展開を加速させている。同社はどのような施策・取り組みによってハイチュウの海外売上を拡大させているのか。同社への取材をもとに追ってみたい。

「チョコボール」「ダース」「小枝」「エンゼルパイ」「ミルクキャラメル」など数多くのロングセラー商品を抱える森永製菓は、2025年3月期の年間売上高が2289億円、営業利益が212億円、従業員数が約3000人(連結)に上る、日本を代表する総合菓子メーカーだ。

そんな同社の看板商品であるハイチュウが誕生したのは1975年。当時の高級志向の高まりを受けて高級を意味する「HI」を付けてハイチュウと名付けられた。粒は現在の構造とは異なり、上下が白く真ん中にフルーツ色のキャンディを挟んだ3層構造だった。外側と内側の二重構造の「あんこ巻」になったのは1986年で、同時にパッケージもスティックパックに変更。海外展開としては、2001年に台湾で発売したのを皮切りに、04年に中国、08年に米国へ進出してきた。

 森永製菓の「ハイチュウ」ブランドを含む海外事業は近年、伸びている。「2021中期経営計画(21中経)」策定当初(21年3月期)は海外売上高が約117億円、海外売上高比率が7.0%だったが、米国を中心に大きく成長したことにより、24年3月期には海外売上高が約269億円、海外売上高比率が12.7%にまで伸長した(「ハイチュウ」ブランドのみの売上実績は開示していない)。

 海外でハイチュウの売上が拡大している理由について、森永製菓は次のように説明する。

「『HI-CHEW』の特長である独自の『食感』と『リアルなフルーツの味わい』が受け入れられたのではないかと考えています。また、海外市場では通常品に比べ砂糖使用量を削減した健康軸の商品や、キャンディの個包装をなくし環境に配慮した商品等、さまざまなニーズに対応する商品ラインアップの拡充や、多様な包装形態の展開にも力を入れています」

なかでも米国市場で大きな伸長を続けている要因は何か。

「米国事業(実績はハイチュウ以外も含む)は、21中経の最終年度である2024年3月期で売上高目標100億円を掲げていましたが、結果として約191 億円となりました。為替の要因もありますが、直近3年間でも飛躍的な成長を遂げることができました。米国ではもともと森永製菓の商品の一つとして『HI-CHEW』が販売されていました。そこで日本人観光客やアジア系の人だけでなく、現地の人も購入していることに着目。08年に米国森永製菓株式会社を設立し、アメリカ西海岸での販売を強化しました。

 とはいえ、08年当時は日系やアジア系のスーパー、地元スーパーのアジアフードコーナーなどには取り扱ってもらえたものの、一般的な菓子コーナーには並べてもらえませんでした。取扱店の拡大や菓子コーナーでの採用を目指して商談を重ねましたが、当時は企業も商品名も認知が低く、なかなか採用されない状況が続きました。

一方で、商談の際、どの小売店も『HI-CHEW』のクオリティは高く評価してくれており、米国市場における確かな手ごたえを感じていました。そのようななか、粘り強く商談を続けた結果、14年~15年頃にやっと全国規模のスーパーのキャンディコーナーに『HI-CHEW』が採用されることが決まりました。これを機に『HI-CHEW』の認知が広まりました」(同)

 現在、同社は欧州市場での販売拡大にも力を入れている。どのような戦略・施策を進めていくのか。

「米国と同規模のキャンディ市場を擁する欧州への進出は、海外事業成長の大きな機会と捉え、アジアや米国といった既存エリアの深耕と並行して開拓を進めています。まずは各国において導入の拡大に努めている状況です。それと並行して認知獲得を狙ってまいります。直近では25年2月2日~5日にドイツのケルンで開催されたISM(国際菓子専門見本市 )にて『HI-CHEW』のブースを出展しました。本見本市では、『HI-CHEW』ブランドを欧州はじめ諸外国へ知っていただく良い機会となりました」

そして米国・欧州を含めたグローバル展開をさらに加速させていくという。

「グローバルにおけるブランド深耕・ブランドエクイティの最大活用・利益最大化を目的に『ハイチュウグローバル推進室』を23年4月に設立いたしました。これは包括的にブランド、原材料、生産関係の中長期戦略を策定、実行する部署になります。これにより『HI-CHEW』のグローバル化をさらに加速させてまいります」

と、ビジネスジャーナルが報じた。

なぜ森永製菓「ハイチュウ」海外進出が加速?米国事業190億円超え、地道かつ周到な戦略が奏功 | ビジネスジャーナルなぜ森永製菓「ハイチュウ」海外進出が加速?米国事業190億円超え、地道かつ周到な戦略が奏功 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部