次々と『閉店』売り上げが「全盛期の3分の1」まで落ち込んだ店舗も

釣具店の閉店が各地で相次いでいる。長年親しまれた老舗店が暖簾を下ろす背景には、「釣り人口の減少」という全国的な流れがある。
かつては週末になると川や港に人が集まり、家族や友人と竿を並べる姿が当たり前だった。だが今では、そうした光景は少なくなりつつある。レジャー白書の推計によれば、1990年代後半に約2000万人を超えていた釣り人口は、近年ではおよそ500万人規模にまで縮小した。
背景にはいくつもの要因がある。ライフスタイルの変化で、休日に屋内で完結する娯楽を選ぶ人が増えたこと。準備や移動に時間がかかる釣りは、忙しい現代人にとってハードルが高くなっている。若い世代で釣りを始める人が少なく、高齢者中心の趣味になりつつあり、世代交代が難しくなっている。
自然環境の影響も無視できない。温暖化や海流の変化で魚の分布が変わり、昔のように同じ場所で同じ魚が簡単に釣れるとは限らなくなった。さらに安全対策のために立入禁止の場所も増えている。報道では、過去5年で釣り禁止エリアが1.5倍になったという話もある。
さらに経済面の変化も追い打ちをかける。高性能化した竿やリールは値段が高騰し、エサ代や燃料費も重い負担になっている。特に地方では大手量販店の進出もあり、専門店の経営環境は厳しい。実際に、売り上げが全盛期の頃の3分の1まで落ち込んだ店舗もある。常連客との交流の場だった店が次々と閉店しているのは、こうした事情もある。
とはいえ、釣りの魅力そのものが失われたわけではない。YouTubeでは釣り動画が人気を集め、親子向けの体験イベントも増えている。近場の川や堤防で短時間から楽しめるという発信も広がり、若い世代が竿を手にするきっかけは少しずつ生まれている。
釣り人口が減ることは、道具や店の売り上げだけでなく、人のつながりや地域文化にも影響する。それでも竿を手にしたときのあのワクワク感は変わらない。その思いをどのように次世代に伝えていくか。そこに釣り文化の未来がかかっているとアサ芸プラスは報じている。
編集者:いまトピ編集部