みかんの中から物体『軸腐病』話題、プロが言及「捨てて」

9月に突入したが、まだまだ夏の暑さが感じられる昨今。秋、そして冬の味覚を楽しみにしている人も多いだろう。
現在X上では、みかんの中から現れた謎の物体に対し、驚きの声が相次いでいるのだ。
今回注目したいのは、Xユーザー・J un Kさんが投稿したポスト。
「みかん食べようとしたら中から明らかヤバそうなヤツ出てきたんだが、これは何?」と綴られた投稿には、皮を剥いた状態のみかんの写真が添えられている。
そしてその隣には、みかんのオレンジ色とは対照的な茶色をした、大きめな梅干しの種のような物体が確認できたのだ。
インパクト満載な光景は瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「みかんって、こうなるのか…?」「初めて見た」「明らかに、食べてはいけないオーラが出てる」「尿路結石かと思った」など、驚きの声が上がっていた。
ポスト投稿主・J un Kさんにみかんの詳細を尋ねたところ、こちらは祖母の家にあったものを、J un Kさんの父親が引き取ってきたものと判明。なお、祖母宅では冷蔵庫に入れず、保管していたという。
発見時の様子については、「皮を被った状態では、みかんに特に異変は見られませんでした。中身も、あの部分以外はパッと見大丈夫そうに見えて食べるか迷いましたが、念のため捨てました。他のみかんは、あのように大きな黒い物体はありませんでしたが、小さな黒い物体が入っているケースはありました」とのコメントが得られた。
毎年、冬になると毎日のようにみかんを食べる記者だが、このような状態にはまだお目にかかったことがない。
そこで今回は、Xでのフォロワー数40万超の、みかん専門店「のま果樹園」に詳しい話を聞いてみることに。その結果、意外な事実が多数明らかになったのだ。
「みかん王国」として名高い愛媛県に拠点を構える「のま果樹園」は名前の通り柑橘の栽培も行なっているが、メインは柑橘を選別する「選果場」という工場としての事業である。
イメージとしては、柑橘ひとつひとつをコンピューターで測定し、味・外観・傷の有無・傷み具合によって選別・出荷しているという。言わば、みかんの状態に関するプロフェッショナル集団なのだ。
今回話題となったみかんの写真を見て、のま果樹園の担当者は「軸腐病(じくぐされびょう)という症状です。栄養を運ぶために果実の中心部を通っている軸の部分が傷んでしまっている状態です」と、断言。
発生の原因については、「生育中に病原菌がヘタから入り込んでしまい、収穫後貯蔵しているうちに発病して傷みが発生することが原因です。病原菌と言っても、明らかに傷んでしまっていない限りは問題ありません。元々はヘタに抑制物質を持っていますが、貯蔵が長期になることでそれが失われ、発病します」と、説明していた。
また、温度が高い環境もみかんの保存条件としては良くないそうだ。今回のみかんは元々、冷蔵庫で保存していなかった祖母宅から引き取ってきたものなので、貯蔵期間・温度共に、軸腐病が起こりやすい条件を満たしていたのだろう。
軸腐病が見られたみかんの対処について、のま果樹園の担当者からは「カビと同じですので、食べずに捨ててください。その他の部分については食べられないことはないと思いますが、味わいも落ちていますので避けた方が良いでしょう」とのアドバイスが得られた。
軸腐病を発症したみかんは、皮を剥く前に何らかの方法で特定できないものだろうか。
こちらの疑問に対し、のま果樹園の担当者は「(皮を剥く前の)外見で、軸腐病かどうかの判断はできません。当社では光センサーによって非破壊で内部品質の検査ができますが、ここまで傷んでいると発見は可能なものの、発病していない段階のものは判定できません」と、説明している。
今回話題となった写真を見て、みかんに対するマイナスイメージが生まれた人もいるかもしれない。
しかし、みかんのプロ・のま果樹園からの説明を聞いたところ、こうした事例は「そこそこ起こるケース」であり、みかんは「単に傷んでいるだけ」であることが判明。今回の現象は決して、「みかんに固有な異常事態」というワケではないのだ。
みかんは風邪の予防や肌の健康に役立つビタミンCを筆頭に、様々な栄養素を含んでいる。そして何より、美味しい。保管方法にはくれぐれも気をつけて、美味しいみかんを食べよう、とSirabeeが報じている。
編集者:いまトピ編集部