『バスクリン』12月31日をもって事業終了を発表

昭和の入浴シーンに欠かせなかった「バスクリン」を製造する株式会社バスクリンが10月2日までに公式サイトを更新し、今年12月31日をもって事業終了すると発表した。来年以降はアース製薬の完全子会社となり、「バスクリン」や「きき湯」「日本の名湯」などの入浴剤事業はアース製薬に引き継がれるという。
バスクリンの歴史は古い。「津村順天堂」の創業者・津村重舎が1893年、東京・日本橋に漢方薬局を開いたのが始まりだ。1897年に津村の出身地で伝承された秘薬を元に日本初の入浴剤、婦人保健薬「くすり湯 薬剤中将湯」を発売した。
津村順天堂は2006年に、漢方薬を扱うツムラと生活商品を扱うツムラサイエンスに分社化。ツムラサイエンス社は2010年に現在の株式会社バスクリンに変更していた。なお、旧社名の津村順天堂と順天堂大学病院には何の関係もない。
バスクリンの事業終了には「思い当たること」がある。ここ数年、期間限定品を求めて薬局に行くと、すでに売り切れ。地方の薬局や転売ヤーが通販サイトや転売サイトで、定価の3倍から4倍の高値で売っていた。
さらにバスクリンの容器は徐々に小さくなり、今年の夏は12回分が発売された。毎日使うものだけに猛暑が続いたこの夏、いったい何本買わねばならなくなるのか…と。
結果、バスクリンは通販サイト、転売サイトで1000円、2000円を超える高級品となり、購入する機会を失っていた。
別ブランド「きき湯」はフィギュアスケートの羽生結弦を応援、羽生の電撃結婚と離婚をめぐって女性ファンが離れたのは、同社にとって運がなかった。
転売ヤーを刺激する「期間限定商品」は消費者にとって、迷惑以外の何ものでもない。そして転売ヤーのせいで、長年にわたり商品を愛用してきた消費者と老舗企業が分断される。価格が吊り上がった分、企業が儲かるわけではない。
バスクリンはアース製薬との合併で落ち着いたが、人気商品を扱う企業では中国人爆買い集団が買い占める業務妨害⇒企業の業績悪化⇒中国資本による日系企業乗っ取り…という最悪のシナリオが想定される。
株式会社バスクリンの事業を継承するアース製薬にはぜひとも、憎っくき転売ヤー対策をとってほしい。とアサ芸プラスは報じた。
編集者:いまトピ編集部