『西武』戦力外通告「ドラ1がわずか4年でクビ」

2025年度の合同トライアウト「エイブル トライアウト2025~挑め、その先へ~」はマツダスタジアムで11月12日に実施されたが、参加38選手の中でひときわ強烈なインパクトを残した選手がいる。西武を戦力外となった渡辺健人だ。
「おかわり3世」と呼ばれた男は日本ハムでプレーした石川直也との対戦で第1打席、2球で簡単に追い込まれながら5球目を完璧に捉えると、打球は左翼席上部の壁を直撃する特大アーチに。中継で解説を務めた館山昌平氏が「軽く打ってあの打球ですからね」と驚いたように、そのひと振りは規格外の長打力を改めて見せつけることになった。
渡部は桐蔭横浜大学から2020年ドラフト1位で西武に入団。3年目の2023年には57試合に出場し、打率2割1分4厘、6本塁打、25打点で、右の大砲候補としての片鱗を見せた。
ところが2024年は11試合の出場にとどまると、今季は1軍から声がかからないままシーズンを終え、オフに戦力外通告。「ドラ1がわずか4年でクビ」という厳しい現実の裏には、数字だけでは説明できない「事情」があったのだと…。
というのも、プロ入り後はグラウンド外の素行をめぐって、たびたび名前が挙がることになったからだ。
2023年にはSNSを通じて女性に声をかけ、〈出すよー〉〈お金は!〉といったメッセージを送りながら、自宅やホテルに誘っていたことが週刊誌報道された。生々しい文面はそのまま公開されて「球団の看板を背負う自覚に欠ける」との批判が噴出。素行問題は成績不振と相まって、球団にとって無視できないリスクとなったことは想像に難くない。
ここで思い出されるのは、たび重なる女性スキャンダルから「更生」して這い上がった、広島の中村奨成である。2017年ドラフト1位として入団しながら、2024年まで本塁打はわずか2本。さらに既婚女性とのトラブルや中絶報道が重なり、一時はトレードや現役ドラフトの候補と報じられた。
それでも鈴木清明球団本部長が「お前のポテンシャルにもう1年、懸けてみる」と残留させ、中村はそのひと言に反応して練習に打ち込んだ。その結果、今季は打率2割8分2厘、9本塁打、33打点、OPS.760と、広島打線を牽引する存在へと生まれ変わっている。
もちろん素行面への不安が消えないうちは、渡部を獲得するリスクは残る。ただし中村の復活劇が示すように、環境と指導が変われば、眠っていた才能が開花する可能性はあろう。「リチャードと同じくセ・リーグ向き」との指摘もあり、ロマンを感じさせる右の大砲であることは間違いない。
どの球団に拾われるのか、あるいはスルーされるのかはわからないが、
「例えば、まずは育成契約からスタートさせ、結果と野球に向き合う姿勢をしっかり見極めながら、引き上げていく形なら、コストを抑えつつ将来の主砲候補に再投資できる」(スポーツ紙デスク)
そんなふうに思わせるだけの威力が、渡部のトライアウトでの一発にはあったのであるとアサ芸プラスは報じている。
編集者:いまトピ編集部
