2025/11/20 22:32

『傑作』3日間で2.4億円、公開時は193億円「当時の歴代1位」根強い人気を証明した

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スタジオジブリ『もののけ姫』(1997)の4Kデジタルリマスター版が10月24日よりIMAXスクリーンで公開され、好調だ。全国61館という小規模スタートながら週末動員ランキングで初登場4位、興収は週末3日間で2.4億円。11月7日からは、2週間限定で47都道府県・全171館と上映館数を広げると、8位(2週目)→5位(3週目)と順調に成績を伸ばしている。

傑作と名高い『もののけ姫』は1997年の公開時、興収193億円と当時の歴代1位を更新し、2025年11月11日現在、国内歴代興収9位(201.8億円)とトップ10以内をキープ。2020年のコロナ禍では、新作映画の供給困難を受けて再上映されると、興収8.8億円と根強い人気を証明した。

 約5年ぶりの劇場お目見えとなる今回は、ジブリ監修による最高画質の“4K版”。これまでとは画質が全く異なるとはいえ、内容は同じだ。全国300館規模の新作が次々に公開されるなか、その5分の1の上映館数にもかかわらず、互角に競える動員を呼ぶ強さの秘密は、「人気」という安易な一言だけでは片付けられない。

たった61館の公開で4位は凄まじい。公開初週の動員ランキングを改めて俯瞰すると、1位『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』、2位『秒速5センチメートル』、3位『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』と新作映画が並び、そのどれもが300館近い大規模上映。公開3日間で動員数10.8万人という数字は、同時点で3位だった『鬼滅』の週末3日間の動員数11.9万人に迫る。

 さらに、『もののけ姫』が公開された1997年と今では、市場に投入される映画の本数が桁違いだ。

 一般社団法人日本映画製作者連盟のデータによると、邦画の公開本数は1997年に278本だったが、2004年の310本を境に急増し、2024年は685本と20年で倍以上にも伸長する。洋画を含む全体で見ても、611本(1997年)→649本(2004年)→1190本(2024年)と500本近く増えているのだ。

 競争が激化した現代においてもなお支持の高さを見せるのは、「好きなものを好きな時に見られる」ことが謳い文句であるサブスク時代のパラドックス的な現象でもある。毎日放送(MBS)元プロデューサーで、同志社女子大学にてメディア研究を指導する教授・影山貴彦氏が解説する。

影山氏は「作品の素晴らしさは折り紙付き。環境、人間と自然、争いといったテーマがまさに今の時代にフィットしているというのもあったと思う」と前置きしたうえで、情報過多時代の“選択基準”に言及する。

「情報が溢れると、その受け手はもはやキャパオーバー。結果、“選択”という行為を放棄するようになっています。一方で、一個人が娯楽にかけられる時間は有限です。そうなると、人は時間とお金を使うコンテンツに対してタイパ、コスパの高さを求めるようになり、なるべく失敗は避けたくなる。言い換えると『“絶対に”面白いもの』『絶対にいいもの』を選びたい、といった“確実性”が選択基準となっています」(影山貴彦氏、以下同)と、サイゾーオンラインが報じた。

『もののけ姫』4K版が初週4位、『鬼滅』に迫る好発進 28年前の作品が“新作並み”ヒットする「強すぎるジブリ」解剖 | サイゾーオンライン/視点をリニューアルするニュースサイト『もののけ姫』4K版が初週4位、『鬼滅』に迫る好発進 28年前の作品が“新作並み”ヒットする「強すぎるジブリ」解剖 | サイゾーオンライン/視点をリニューアルするニュースサイト

編集者:いまトピ編集部