大阪市内で去年7月、「カメムシが付いてますよ」と言って女性のおしりを触ったとして、準強制わいせつなどの罪に問われた男の裁判が23日あり、大阪地裁は「虫がいると誤信させたことで抗拒不能状態に陥れた」と認め、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

 起訴状などによりますと、会社員の岡山直樹被告(31)は去年7月11日と24日、大阪市内のマンションの非常階段などでいずれも30代の女性2人に対し「カメムシが付いていますよ」とうそを言って、おしりを触った準強制わいせつや不同意わいせつなどの罪に問われていました。

 これまでの裁判で弁護側は「虫を払うことが疑われないように指先で数回触っただけ」だったとし、「わいせつ行為には当たらず、抗拒不能状態ではなかった」と主張。

 検察側は、女性が岡山被告と同じエレベーターに乗らないように非常階段に移動した際に声をかけられたとして、「時間や場所も相まって、抵抗することが著しく困難な状態に陥った」などとして懲役2年6ヵ月を求刑していました。

 23日の判決で大阪地裁は、女性が突然見知らぬ男に「カメムシが付いていますよ」と声をかけられて驚愕したことを挙げ、「虫を払いとるためだと誤信させて抵抗させないようにした」として女性は物理的にも心理的にも抵抗することが著しく困難な状態である「抗拒不能状態だった」と認定。

「虫をとるかのようにしたことで発覚を免れようとする卑劣な犯行」と指摘し、懲役2年4ヵ月執行猶予3年の判決を言い渡しました。

 性犯罪をめぐっては去年7月13日に刑法が改正され、「準強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」となり、構成要件として「同意しない意思を表すいとまを与えない」など具体的な行為が明記されました。

 今回起訴された罪については、刑法改正前の7月11日の起訴事実については「準強制わいせつ罪」で、改正後の24日の起訴事実については「不同意わいせつ罪」で審理されていました。

「準強制わいせつ罪」については、「カメムシが付いていますよ」とうその声かけをしたことなどが「女性を抗拒不能状態に陥れた」といえるかどうかが争点の1つとなっていました。