和歌山県白浜町の日置川地域は、教育旅行の受け入れシーズンに入った。普段は静かな山間地域が、都会から来た子どもたちの元気な声であふれている。教育旅行を実施している南紀州交流公社(白浜町安居)によると、今年も約5千人の子どもを迎える予定という。

 公社は、2004年から日置川地域で教育旅行を始めた。受け入れ人数は17年に過去最高の5117人を記録。コロナ禍で20年には222人まで落ち込んだが、22年に過去2番目に多い5060人にまで回復した。23年は4708人だった。春と秋が教育旅行のシーズンとなっている。 
 受け入れる学校の約6割がリピーターで、台湾、韓国、中国、マレーシアなど海外からも迎えている。
 15〜17日には、09年から教育旅行でこの地域を訪れている四條畷学園小学校(大阪府大東市)の5年生80人が2泊3日で滞在。児童は町内外の民家21戸に分かれて宿泊しながら、磯釣り、こんにゃく作り、みそ作り、梅ジャム作りなどを体験した。
 16日には、同町口ケ谷にある金子博子さん(74)の田んぼで、田植え体験があった。児童は、地元農家たちの指導を受けながら、約13アールの田んぼにコシヒカリの苗を手で植えた。9月上旬に再度訪れ、稲刈りをする予定。その際は今回と同じ民家に宿泊する。
 初めて田植えをした池田大青君(10)は「思っていたより腰に負担はなかったけど、苗を植えるのが難しかった」。田植えは2回目という岩﨑桜介君(10)は「泥が気持ち良かった。またやりたい」と喜んだ。
 児童と一緒に田植えをした吉田いく子副校長(55)は「子どもたちは豊かな自然に触れてとても生き生きしている」と話した。
 苗の植え方などを教えた金子さんは「年々体力的にきつくなっているが、子どもに元気をもらっているので心地よい疲れ。子どもたちの将来に少しでも役に立てれば」と語った。
 公社の佐本真志所長(48)は「コロナ禍を経て、どの学校も人間関係や交流をさらに重要視するようになり、民泊のニーズがより高くなっている」と話している。