ティアップしているボールを打つドライバーは、アッパー軌道で打ちますが、地面にあるボールを打つ場合は、ダウンブローで打つ必要があります。とはいえ、アマチュアゴルファーの中には、アイアンショットのときにもアッパー軌道になっている人がいます。おそらく、ドライバーの練習のし過ぎが原因になっていると思われるのですが、アッパースイングだと当然のことながら、アイアンでナイスショットを打つのは難しくなります。


そういうゴルファーには、バンスが少なめか、ソールの前と後ろ側を削った“山切りカット”のモデルを使ってはどうでしょうか、とアドバイスをしています。ただ、基本的にアイアンは、ダウンブローで打つものとして作られているので、ソールの前後を落としたモデルはそう多くはありません。

そこでオススメしたいのが、ユーティリティ(UT)です。UTなら多少手前から入ろうが、アッパー軌道になろうが、ソールが滑ってくれるのでダフることなくボールは飛んでくれます。

そんなUTの利点を上手く生かしているのが片山晋呉選手。片山選手は、ツアーの中ではいち早くUTをバッグに入れたプロゴルファーとして知られていますが、あるときその理由を聞いたら、「オレはアイアンが下手だからだよ」という答えが返ってきました。

もちろん“下手”のレベルはわれわれと大きく違うわけですが、自分のスイングではアイアンの微妙な打ち分けができないことに気付き、UTを活用することを決めたようです。

片山選手が世に広めたわけではありませんが、昨今、需要が増えたこともあって、UTのロフトバリエーションも豊富になりました。最もロフトが立っているモデルは18〜19度。ドライバーの飛距離が220〜230ヤードなら180〜190ヤード飛ばせます。また、下は30度前後まであるので、7番アイアンの飛距離までカバーできることになります。
 
「5番アイアンと7番アイアンの飛距離が変わらない」という人は、30度前後のUTがあるメーカーのクラブを選んで、アイアンを8番からにするというのが、賢い選択になってきているのです。

もちろん、きちんとダウンブローで打てる人には、UTのメリットはそんなに大きくありません。むしろ、上からドンと入る人は突っかかってしまがちで、そうすると右へ飛んでいってしまうこともあるからです。

グリーンを狙うとき、アイアンを使うか、UTを使うかは、上手い下手ではなく、スイングタイプによっても変わってくるということを覚えておいてください。

■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼されて、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートする

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