<全米プロゴルフ選手権 事前情報◇16日◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609ヤード・パー71>

海外メジャーの中で唯一、プロゴルファーのみが出場する「全米プロゴルフ選手権」がまもなく開幕を迎える。そこで、プロの祭典といえる今大会の豆知識をおさらいしよう。




■優勝に贈られる「ワナメーカー・トロフィー」 由来は?

「マスターズ」はグリーン・ジャケット、「全米オープン」はジャック・ニクラス・メダル、そして「全英オープン」のクラレット・ジャグ。勝者に贈られる栄誉はメジャー大会ごとで特色があるが、全米プロの優勝者は『ワナメーカー・トロフィー』というビッグなトロフィーをその手に掲げる。

その名前は全米プロの創始者であるロッドマン・ワナメイカー氏にちなんでいる。まだゴルフがメジャースポーツでなかった1916年。プロゴルファーの地位を高めるために一計を案じたのが、大富豪だったワナメイカー氏だ。彼はポケットマネーから賞金2500ドルを用意し、第1回大会を開催。ジム・バーンズ(故人)が栄えある初代王者に輝いた。

ちなみに、当時はマッチプレーで行われていたが、1958年から現在のストロークプレーに変更された。

■その差は30歳! 最年少、最年長優勝は?

全米プロを最年少で制したのは、メジャー通算7勝の名手ジーン・サラゼン(故人)。1922年に大会初優勝を挙げたとき、弱冠20歳だった。

最年長優勝は“ビッグ・レフティ”フィル・ミケルソン(米国)。2021年に50歳にして大会2勝目を挙げたのは記憶に新しい。この勝利は全米プロのみならず、4大メジャー最年長記録となった。

■歴代最多は5勝 “メジャー男”ケプカにかかる期待

大会最多優勝はウォルター・へーゲン(故人)とジャック・ニクラスが持つ5勝。次いで4勝のウッズ。ケプカと並んでジーン・サラゼン、(故人)、サム・スニード(故人)が3勝を挙げている。

ただし、へーゲンの時代はマッチプレー方式。58年からストローク戦に変わって以降、4勝以上はニクラスとウッズのみだ。

ケプカは2018年に大会初優勝を挙げると、翌年から2勝をマーク。6年間で3勝の勝率5割という圧倒的な強さを誇っている。ハイペースで勝利を重ねる“メジャー男”がレジェンドの持つ記録を塗り替えるのか。ファンからの期待は大きい。

■クラブプロが夢を見る舞台 昨年は無名の46歳が大活躍

全米プロがほかのメジャーと違う点として、クラブプロの存在が挙げられる。クラブプロとは、ツアーで賞金を稼ぐツアープロと違い、コースに所属してレッスンなどを生業とするヘッドプロのこと。そのクラブプロたちは毎年全米プロに参戦し、世界トップランカーと腕を競う。

昨年は20人が出場し、たった一人だけが予選を通過。その選手こそが当時46歳のマイケル・ブロック(米国)だ。ブロックは10位タイで決勝に進出すると、ムービングデーをイーブンで耐えて、8位タイで最終日に進出。無名のクラブプロの奮闘に、会場は大いに沸いた。

最終日は「71」と伸ばせずに15位タイだったが、15番パー3ではホールインワンを達成した。同組で回った憧れのローリー・マキロイ(北アイルランド)と歓喜のハグ。ブロックにとってまさにアメージングな、夢のような一週間となった。

ちなみに、一連の活躍によりブロックにはレッスン希望者が殺到したそうだ。今年も全米プロには多くのクラブプロが出場するが、再びシンデレラ・ストーリーの幕が開くのか。“第二のブロック”誕生に期待しよう。


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