老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、減額された分の年金がどうなるかについてです。

■Q:60代前半で減額になった年金は65歳以降に加算されますか?
「60代前半で年金をもらっていますが、お給料が少し多くて減額になりました。減額になった分は65歳以降に加算されますか?」(匿名希望)

■A:減額された年金額が将来、加算されることはありません
結論からいってしまうと、減額された年金が将来加算されることはありません。

60歳以上の人が厚生年金に入りながら働いて収入を得て、かつ老齢厚生年金をもらっている場合、老齢厚生年金の基本月額(年額の老齢厚生年金を12で割ったもの)と、総報酬月額相当額(年収等を12で割ったもの)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。これを在職老齢年金といいます。60代前半でもらえる特別支給の老齢厚生年金も在職老齢年金の対象となります。

相談者の年金額が減額された理由も、この在職老齢年金制度によるものです。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超えなければ、老齢厚生年金は減らされることがなく全額受給できます。

50万円を超えると、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じた計算式で計算され、毎月の老齢厚生年金額が減額されることがあります。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

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