ふだん使っている言葉のなかにある、ちょっと意外な略語をご紹介。今回は、「フライパン」です!   

【実は略語】vol. 15

「フライパン」って、なんの略?

料理に欠かせない「フライパン」。鉄やアルミ、ステンレス、銅などさまざまな種類があり、サイズも豊富で選ぶのに迷うキッチン道具のひとつです。

フライパンひとつで調理できる簡単レシピなども人気で、毎日のように使っている人も多いと思います。

そんな「フライパン」も、実は略語。さて、いったいなんの略でしょう?

フライパン、もともとは…?

フライパンは、「フライイング パン」の略でした!

国語辞典によると、フライパンは英語のfrying panを略したもの。意味は、「平たくて浅い柄のついた鉄・ステンレスなどの鍋」と記載されています。

日本にフライパンが入ってきたのは明治時代。大正時代には一般家庭にも普及し、洋風の料理もつくられるようになりました。

英語のfrying panを分解して見てみると、fryは「揚げる、油でいためる」という意味の動詞。panの意味は「平鍋」です。

ちなみに、英和辞典でfrying panの項目を見ると、特記事項に「fry pan」の表記もありました。電気フライパンには、-ing のない形を用いることがあるそうです。

ただ、一般的な英語ではa frying panを使うことが多く、fryingを略してa panとする場合もあります。

スキレットとフライパンの違いは?

フライパンと似たようなキッチン道具に「スキレット」があります。見た目はほぼ同じですが、フライパンとの違いはあるのでしょうか?

まず、国語辞典に載っているスキレットの意味は、「厚みのあるがっしりとした鉄製フライパン」。

キッチン道具専門店のサイトには、「スキレットとは鍋部分から柄(ハンドル)まで鋳物でつくられたフライパンのこと。ハンドルまで鉄製のため、そのままオーブン調理できる」と紹介されていました。

いっぽう、鉄フライパンはスキレットよりも軽く、ハンドル部分が樹脂や木製のことが多いのが特徴のようです。

また、英和辞典でskilletの項目を見ると、「アメリカ英語でフライパンの意味」と記載。アメリカやイギリスのネットショップでは、skilletとfrying panを同じものとして扱っているケースが多くありました。

フライパンは略語でした!

フライパンは「フライイング パン」の略でした。英語ではa frying panといい、略してa panと使われることもご紹介しました。

ちなみに、パンケーキの「パン」もフライパンの「pan」と同じ。食パンのパンではなく、平鍋やフライパンなどで焼いたケーキだからpancakeです。

意外な略語はほかにもあります。次回もお楽しみに!

参考資料
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)
・『デジタル大辞泉』(小学館)
・『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

文・田代わこ