京都をひとり旅するなら、どんな1泊2日を過ごしますか? そんな質問に京都好きのあの人がオリジナルプランをつくってくれました。ひとりだからこその楽しみが詰まった、個性的かつ贅沢なガイド。ここでは、建築家、大西麻貴さんの京都1泊2日ひとり旅プランを紹介します。

建築や都市計画の視点から、京都を観察する。

今回は京都の周縁部の魅力に注目。高山寺の石水院はランドスケープと建築の関係が美しい。風と光が通り抜ける、なんて繊細で透明な建築だろうと感服します。さらに奥に進むと、北山杉の里で独自の林業が営まれてきた中川という集落があります。ここは谷沿いに並ぶ家々が風景と一体化していて、自然の中に人々がどのように場を生み育ててきたかが感じられます。オークラ近くの高瀬川一之船入は高瀬川で物資を運搬していた頃の名残で、少し行くと水源もあります。高瀬川の成り立ちがわかって楽しい。続いて、都市計画家としての豊臣秀吉の手腕も感じられる寺町通へ。表には賑やかな商店が、裏にはお寺やお墓が立ち並び、通りの奥に見えるふとした静けさが印象的。そんなふうに都市構造をひもときながら散策できます。『誠光社』『アスタルテ書房』(京都市役所前)などなど、店主の思想がセレクトに如実に表れている書店が多いのも京都ならでは。私もいつか本屋さんをやりたいと思っているので、本を介して人のつながりをつくっている書店には刺激をもらいます。

My Solo Trip Plan大西麻貴さんの京都1泊2日ひとり旅プラン。

1日目

10:00
新幹線で京都駅着。

10:15
京都駅でレンタカーを借りて、(栂尾)へ。石水院を見学する。

12:00
グルテンフリーレストラン『山のめんどころ』(中川)の雑穀麺でランチ。*要予約

13:00
北山杉の産地であり、川端康成の小説『古都』の舞台となった中川の集落を散策。

16:00
レンタカーで京都に戻り、(京都市役所前)にチェックイン。

18:00
ホテルから徒歩5分のイタリアンレストラン『』(京都市役所前)で夕食。

ホテルオークラ京都に宿泊。

07:00
高瀬川一之船入(京都市役所前)辺りを散歩。

08:00
カフェ『』(京都市役所前)で朝食。

10:00
内藤廣設計の、お香・和紙・和文具の店『』(京都市役所前)を訪れたり、茶葉専門店『柳桜園茶舗』(京都市役所前)でほうじ茶を買ったり、工芸ギャラリー『』(京都市役所前)で器を買ったりなど、午前中は寺町通周辺を散策。

12:00
広東料理『鳳泉』(京都市役所前)でからしそばの昼食。

13:00
歩いて書店『』(河原町丸太町)へ。お気に入りの本を選び、鴨川まで歩いて鴨川沿いでのんびり読書をする

16:00
菓子店『』(京都市役所前)で御池煎餅や干菓子を購入。

16:30
ホテルで荷物を受け取り、京都駅から新幹線で帰宅。

大西麻貴 Maki Onishi建築家

大学時代を京都で過ごし、2008年、東京大学大学院修了と同時に、建築事務所「大西麻貴+百田有希 / o+h」を共同主宰。「二重螺旋の家」「シェルターインクルーシブプレイス コパル」はじめ、受賞多数。横浜国立大学大学院Y-GSA教授。

illustration : Mayumi Kawahara text : Mick Nomura (photopicnic), Wakako Miyake edit : Wakako Miyake cooperation : Mimi Odahara

&Premium No. 124 Kyoto Solo Trip / やっぱり、ひとりでも京都。

京都の街を巡り歩くとき、なぜこんなにも心が浮き立つのでしょうか。風情ある神社仏閣や庭、精緻な工芸品を扱う店や美しい佇まいの町家に出合ったかと思えば、そのすぐそばには個性的なコーヒーショップや書店、ギャラリーや生活道具の新店が。長い歴史の中で脈々と息づいてきた伝統と、新しいカルチャー、そして〝ふだんの表情〞を、さらりと共存させる街、京都。今号は、ひとりでも楽しめる京都、そして、ひとりだからこそさらに楽しい京都を案内します。

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