蜂騒動の舞台裏とは

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手は4月30日(日本時間5月1日)、敵地ダイヤモンドバックス戦に「2番・DH」で先発。5打数1安打に終わり、延長の末に3-4でサヨナラ負けした。試合前は球場内に蜂が大量発生する珍事が発生。中止危機だったが、駆除業者が早急に駆け付けて約2時間遅れで開始された。球場の運営担当者は「人生で一番長い45分間だった」と舞台裏を振り返っている。

 試合前、本塁裏のネット部分に蜂が大量発生。大谷も座るドジャースベンチ前では選手たちも困惑気味に大群を眺めていた。開始が遅れ、駆除業者「ブルー・スカイ・ペスト・コントロール」のフェニックス店で支店長を務めるマット・ヒルトン氏が登場。喝采を浴びながら作業を終えた。ガッツポーズで歓声に応え、作業服のまま始球式にまで登板した。

 米紙「USAトゥデー」は「養蜂家のマット・ヒルトンはドジャースーダイアモンドバックス戦の遅延を終わらせる救世主になった」との見出しで報道。「養蜂家に対するスタンディング・オーベーションは歴史上初めてのことだろう」と“歴史的”な珍騒動を伝えた。記事内で、ダイヤモンドバックスの球場運営責任者のマイク・ロック氏は舞台裏について語っている。

「試合開始5分前にシニアマネージャーから電話がかかってきたんだ。彼女がそんな時間に電話をかけてくることなんてほとんどなかったからおかしいなと思ったんだよ」とドタバタ劇を回顧。蜂の数について、シニアマネージャーのキャット・マクドナルド氏から「何百…いや待って、何千よ」と聞かされると「こいつは問題だ」と重大さを認識したという。

 ロック氏は審判団に注意喚起し、両軍監督にも事情が伝えられた。MLBからは駆除、選手やファンの安全確保がないと開催できないと言われていたそう。ロック氏はすぐに駆除業者のヒルトン氏に電話した。ヒルトン氏は息子の野球の試合中。車で約40分離れたアリゾナ州サプライズにいたが、他の競合他社はさらに時間がかかるとのこと。ヒルトン氏に早く来るよう頼み込んだという。

 試合中止となれば球場では数万人、テレビの前で莫大な人に影響を与える一大事。記事では「ヒルトンは家族に謝ってトラックに飛び乗り、ゴルフカートが彼を待つチェイス・フィールドへと疾走した」と当時の状況を説明した。ロック氏は「人生で一番長い45分間だったね」と語っている。

(THE ANSWER編集部)