2019年の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展に端を発した大村秀章・愛知県知事への解職請求(リコール)署名偽造事件をめぐり、地方自治法違反罪に問われた元県議でリコール運動団体事務局長の田中孝博被告(62)の判決公判が19日、名古屋地裁であった。大村陽一裁判長は懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。

 大村知事は記者団の取材に「民主主義の根幹を揺るがす極めて悪質な署名偽造事件。田中孝博被告に有罪判決が出たことは重く受け止める」と話した。

 その上で、「誰がお金を用意し、指示したのか。全体の事実関係が明らかになっていないのは残念」とし、リコール運動団体を設立した美容外科院長の高須克弥氏や、団体を支援した河村たかし・名古屋市長に対しては、「悪質な事案がなぜ起きたのか、説明する責任は消えてなくならない」と述べた。

 河村たかし市長は「真剣に署名(活動)をやっていた。偽造しているとは本当に知らなかったし、だまされた」と改めて関与を否定した。田中孝博被告が公判で動機や目的を語らなかったことについて、「なんでこんなことをやったのか、全部しゃべって欲しかった」と述べた。

 また大村知事から説明責任を求められていることにも言及し、「自分の関与が無かったことを含めて、リポートにしてなるべく早く記者会見で皆さまに示したい」と明言した。