斎藤元彦兵庫県知事や県幹部を批判する文書を、西播磨県民局長だった男性(60)が作成し、報道機関や県議らに配布していた問題で、日本新聞労働組合連合(新聞労連)は26日、県人事課から神戸新聞記者が文書の受け取りなどについて聴取されたとして、「情報源の秘匿に踏み込む不当な聴取を止めよ」とする抗議声明を出した。

 声明では「記者から経緯を聴取し、情報源の開示を迫る人事課の高圧的な対応は、報道の自由や市民の知る権利を侵害するもの」と指摘。そのうえで、「報道機関への聴取は、行政内部の腐敗を明るみに出そうとする内部通報者を萎縮させかねない」と県の対応を批判した。人事課は報道陣に対し18日、一連の問題についての質問が出た知事の定例記者会見の後、「今後も報道機関や関係者への聴取を続ける」としていた。

 声明をうけて斎藤知事は26日、定例記者会見で「報道の自由を侵害しない範囲で適切に対応していくということは必要」とし、自身が当事者になっているとして「人事当局に直接指示をすることはできない」と述べた。

 県庁で記者会見した新聞労連の石川昌義中央執行委員長は「同じような問い合わせがあった場合には毅然(きぜん)としてはねのけてほしい」などと話した。神戸新聞は4月19日付の紙面で、人事課の聴取に対し「文書を受け取ったとも、受け取ってないとも答えられない」と拒否したとする記事を掲載した。(高木智也)