1923年9月の関東大震災当時の被災地を映した映像を紹介するドキュメンタリー映画の公開がきっかけで、発災直後に撮影された映画フィルムが新たに見つかった。保存状態がよく画質が鮮明で、被災状況や被災者の表情などを細部まで確認できるといい、関係者も驚いている。

 大震災を記録した映画フィルムは、国立映画アーカイブ(東京都中央区)に二十数本保存され、映像はデジタル化され公開されている。その保存映像をもとに、震災時に被災地を撮影した3人のカメラマンを追ったドキュメンタリー映画「キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―」(1時間21分)が昨年公開された。映画誌「キネマ旬報」ベスト・テンの文化映画第1位に選ばれた。

 作品をつくった記録映画保存センター(東京都千代田区)の村山英世事務局長は、公開直後の昨年9月、「うちにも震災のフィルムがあります」との情報提供を受けた。保管していたのは川崎市の樋口峰子さん(89)。夫の貞夫さん(故人)が映画博物館をつくりたいと考え、60年ほど前に入手したという。