静岡県河津町内で開かれる「河津桜まつり」の実行委員会が駐車場料金などまつりの収入に対する消費税を長年納めていなかった問題で、実行委は20日、未納分は概算で400万〜500万円にのぼると公表した。時効を迎えていない5年間分で延滞税は含まない。未納分は繰越金を充当し、全額を近く納付するという。

 桜まつりは町と町観光協会、町商工会などで組織する実行委が主催している。未納分の税目は消費税だけでなく、法人税、県事業税、特別法人事業税、県民税、町民税で、まつりが1991年に始まってから一度も支払っていなかったという。

 実行委によると、1月30日に下田税務署へ相談に訪れた際に課税判断が示され、税理士が過去5年分の領収書など書類を精査していたという。

 町によると、2019〜23年で駐車場料金や露店の出店料、企業協賛金で約1億5586万円の収入があった。そのほとんどが仮設トイレの設置や交通整理、ごみの処理などに充てられている。長年赤字が続いてきたが、町の補助金などによりようやく黒字になったという。

 そのため、実行委は「公益的な運営で収益目的ではないため、消費税の課税対象にはならない」と解釈して納税を怠っていたという。

 実行委会長の山田和子・町観光協会長は20日、町役場で記者会見を開き、「消費税に関する正確な理解が不足しており、迷惑をかけたことをおわびする」と謝罪した。岸重宏町長も「町長として税に対する認識不足が今回の事態に至った原因であり、深く反省している」と頭を下げた。

 実行委事務局は町観光協会内に置かれ、実態は町が中心となって運営するイベントとなっている。昨年6月に実行委内部で課税対象となる可能性が指摘されたが、実行委は税務当局に確認するなどの対応は取らなかった。

 岸町長は危機管理体制について問われ、「今回を機に税理士を置くなど実行委内の仕組みづくりを進めたい」と語った。

 桜まつりは伊豆半島に早春を告げる一大イベントで、河津川沿いの約850本の早咲きの河津桜など一帯に約8千本の桜が咲く。今年は2月1〜29日に開催され、約62万人が訪れた。(南島信也)