有識者でつくる「人口戦略会議」が24日に公表した市町村の人口分析では、徳島県内でも16市町村が将来的に「消滅する可能性がある」と指摘された。関係者の受け止めを聞いた。

 2014年の同様の報告と比べ、若年女性の人口減少率が5ポイント近く改善したが、依然として高い73.2%だった三好市。高井美穂市長は取材に「1千年後も存続するように市全体で考え、助け合っていきたい。『産めよ増やせよ』ではなく、多様性を認め、豊かな自然を生かした林業や教育分野などに取り組む」と力を込めた。

 今回は消滅可能性自治体から脱却した板野町の東根弘幸副町長は「16年に県内で初めて保育料を完全無償化するなど子育て支援に力を入れてきた。脱却は喜ばしい」としつつ、「『住んでよかったと思える街づくり』を引き続き目指さねばならない」と強調した。

 一方、新たに消滅可能性自治体とされた鳴門市の戦略企画課の担当者は「20代や30代、特に女性の転出が著しいことは以前から認識し、人口減少に対する総合戦略の改訂作業をいま進めている」とし、減少速度を緩める策などを検討中という。

 後藤田正純知事は「静かなる有事である人口減少と、それに伴う労働力不足について、厳しい状況にあると改めて重く受け止めている。『未来に引き継げる徳島』の実現に向けた対策を加速していく」とコメントした。

 人口減少には様々な背景があり女性の人口だけでは論じられないが、同会議は、2020年から50年までの30年間で20〜39歳の女性人口が50%以上減少すると推計した自治体を「消滅可能性自治体」として公表した。(能登智彦)

■市町村別の若年女性人口減少率

徳島市   ▼36.5

● 鳴門市   ▼51.6

● 小松島市  ▼58.1

阿南市   ▼49.9

● 吉野川市  ▼55.4

● 阿波市   ▼57.9

● 美馬市   ▼60.0

● 三好市   ▼73.2

● 勝浦町   ▼60.4

上勝町   ▼47.9

● 佐那河内村 ▼71.0

石井町   ▼39.2

● 神山町   ▼69.7

● 那賀町   ▼78.7

● 牟岐町   ▼77.7

● 美波町   ▼65.5

● 海陽町   ▼74.2

松茂町   ▼37.4

北島町   ▼22.2

藍住町   ▼29.9

板野町   ▼46.3

● 上板町   ▼51.2

● つるぎ町  ▼71.3

● 東みよし町 ▼58.3

人口戦略会議まとめ。●は消滅可能性自治体とされた市町村