与野党は24日、参院憲法審査会を5月8日に開き、今国会で初めての実質的な討議を行うことを決めた。自民党は憲法改正に関するテーマに絞ることを野党に提案したが合意にはいたっておらず、テーマを定めない自由討議となる。

 24日の参院憲法審幹事懇談会の後、自民の佐藤正久・与党筆頭幹事は記者団に、「8日の各会派の意見表明を受けて、テーマを決めることになる」と語った。だが、実際にはその行方は見通せていない。

 これまでの議論で、テーマを「緊急事態における参院の緊急集会」に絞りたい自民に対し、公明党と日本維新の会、国民民主党は理解を示す一方、立憲民主党は同性婚など別の論点を主張。共産党やれいわ新選組は改憲自体に否定的だ。

 現行憲法では、衆院が解散されている時に緊急の必要が生じた場合、内閣が参院の緊急集会を求めることができると定める。緊急時に国会議員の任期を延長するための改憲原案づくりは、衆院憲法審で焦点となっているが、参院の緊急集会の存在意義にかかわる。そのため、公明の参院側は議論には応じるものの、任期延長のための改憲は不要との立場をとっている。

 今年9月までの党総裁任期中の改憲を掲げる岸田文雄首相は22日の衆院予算委員会で、「時間的な制約を考える時、危機感を感じている」と焦りをにじませた。(鈴木春香、伊沢健司)