東日本大震災で津波に襲われた福島県南相馬市原町区萱浜(かいばま)で毎年恒例の菜の花迷路が開かれている。20日からはイベントも始まる。

 企画したのは、近くの農家上野敬幸さん(51)。上野さんは津波で両親と長女永吏可(えりか)さん(当時8)、長男倖太郎(こうたろう)さん(同3)を亡くした。萱浜地区では多くの人が亡くなり、住宅の多くが流された。「寂しい地区を花できれいにできないか」と上野さんは考え、2011年秋ごろに菜の花を植え始め、13年からは迷路として開放している。昨年は約1万2千人が訪れた。

 今年は6ヘクタールに菜の花を植え、そのうち3ヘクタールに迷路二つを作った。20、21日と27〜29日、5月3〜5日はゴールした子どもたちに菓子などのプレゼントがある。参加は無料だが、会場には来年以降の開催のための募金箱が設置されている。

 上野さんは「一面に広がる菜の花を見て、笑顔になってもらえたら」と話す。(滝口信之)