文化財の宝庫「大和と出雲」。そのつながりも想像できる企画だ。奈良県立橿原考古学研究所(橿考研、橿原市)で開催中の上塩冶(かみえんや)築山古墳(島根県出雲市)の出土品を紹介したパネル展。直近の発表で注目された大刀(たち)の新知見も学べる。5月20日まで。

 同古墳(国史跡)は6世紀末の円墳だ。橿考研の研究者らは出雲弥生の森博物館(出雲市)と共同調査。同古墳の豊富な出土品と、豪華副葬品で知られる藤ノ木古墳(斑鳩町)の出土品の比較研究を進めてきた。

 橿考研の奥山誠義・総括研究員は、「数々の新しい発見があった」。今展では、そんな上塩冶築山古墳の出土品の調査成果を、豊富なパネルを中心に伝える。特に目をひくのは、「金銀装捩(そうねじり)環頭大刀」について分かったことの展示だ。

 大刀は、木製の鞘(さや)に布がまかれ、そこに赤色顔料(水銀朱)が塗られていた。3月26日に発表されたばかりで、古墳時代の遺物としては類例のない「赤鞘の大刀」という。同じ日に全体像が明らかになった富雄丸山古墳(奈良市、4世紀後半)の巨大蛇行剣と同じく、歴史・考古学ファンの間で話題になっている。

 今回は、そんな大刀の特徴や製作手順を分かりやすく示している。3Dプリンターで出力した模型も展示。別の大刀や馬具、古墳の概要なども伝えている。

 入場無料。午前8時半〜午後5時15分。土日祝日は休館。28日と5月12日は、正午から午後4時まで観覧可能。問い合わせは橿考研(0744・24・1101)へ。(清水謙司)