はなくいどり 道の駅「針テラス」(奈良市針町)が再整備されるの?

 A 名阪国道(国道25号)の針インターチェンジに直結する道の駅で、奈良市が3月末に再整備の実施方針案を発表した。西日本最大級とされる約6・6ヘクタールの敷地に、飲食施設と温泉施設、野菜の直売所、510台分の駐車場がある。

 市の案では温泉施設以外の再整備を2026年度に始め、30年春に完了させる。民間事業者を公募して、駐車場などの土地を所有する国土交通省を交えた3者で事業計画を作る。計画段階から民間が参加する方式を採るのは市では初めて。市の土地を事業者に貸し、施設の建て替えから管理運営までを今後30年間任せる契約を結ぶ。市には最大で年間約3千万円の借地料が入る見込みだ。

 は そもそも、どうして再整備が必要なの?

 A 針テラスは市と合併前の旧都祁(つげ)村が地域振興に弾みをつけようと01年に開設した。23年が経過し、老朽化やテナントの空きが目立つ。

 は 大阪や三重、愛知からのアクセスも良いのに寂しいな。

 A 休憩する運転手や直売所で買い物をする人、敷地内の遊歩道で犬を散歩させる人らがいて、平日でも利用者が少ないわけではない。ライダーの「聖地」としても知られている。

 管理が行き届いていないのは訴訟問題が原因だ。針テラスは開設当初から、行政の土地に民間事業者が施設を建てて管理運営してきた。この事業者が借地料を支払わないなどの問題が起こり、08年に市と事業者が互いを訴えた。その後も問題が発生し、19年に再び訴訟になった。

 18年に管理運営を引き取った市だが、係争中に再整備するわけにもいかない。新たなテナントを募集せず、設備の維持管理は最低限で済ませてきた。二つ目の訴訟が和解で決着したのがつい2年前だ。

 は ややこしいな。でも過去にトラブルがあったなら、今度の再整備で同じように民間に管理運営を任せて大丈夫なの?

 A それでも市は、民間の活力を生かすことを選択したという。苦い経験があるから、コンサルティング会社とアドバイザリー契約を結び、事業者の能力や事業の継続性を厳しく審査する構えだ。市観光戦略課の担当者は「同じ轍(てつ)は踏まない」と口にした。

 は 民間の活力か。針テラスをどう生まれ変わらせたいんだろう。

 A 具体的にはこれから。市は集客力を高め、大和高原の野菜や米といった産品のアピール、地域の雇用創出にもつなげたい考えだ。「立ち寄るだけではなく、目的地そのものになる道の駅を目指す」という。

 針テラスの正式名称は「針T・R・S」で「Tea Time Resort Station」の略。担当者は「親しみを持っていただいている一方、(訴訟などの)イメージもついている。変更も含めて検討したい」と話しているよ。

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オシドリの「はなくいどり」は朝日新聞奈良総局の公式キャラクター。正倉院宝物にも描かれた吉祥文様です。花をくわえて、最新のニュースや身近な話題を求めて県内を飛び回ります。(富岡万葉)