有明海でとれる福岡県産養殖ノリの今季の販売枚数が、約7億6千万枚(昨季比120%)で目標とした13億枚の58%にとどまったことがわかった。販売総額は全国的な不作を反映して単価が高騰したため、目標の146億円を超える約160億円(同152%)だった。1枚あたりの平均単価は21・04円(同4・49円増)で平成以降で最高を記録した。

 今季の最終入札会が19日、柳川市の福岡有明海漁連共販センターであった。同漁連によると、販売枚数は2020年度が約12億8千万枚、21年度約13億1千万枚だったが、昨季の22年度は約6億4千万枚にとどまる「記録的な不作」だった。近年では、今季は昨季に次いで少なかったという。

 今季の一期作目の「秋芽ノリ」は高品質なノリがとれて順調な滑り出しだった。昨年12月9日にあった初入札会には昨季の2倍以上の約1億244万枚が出品され、1枚あたりの平均単価は35・28円の高値がついた。

 ところが12月中旬ごろから海況が悪化。ノリの生育に必要な栄養塩が不足し、二期作目の「冷凍網ノリ」の張り込みが約1カ月遅れた。栄養塩を奪ってしまう植物プランクトンの多い状態が続いたことから予定通りの生産ができなかった。

 生産量が減り、今季10回予定していた入札会のうち1、2月の2回は中止に追い込まれた。

 最終的には枚数、販売額のいずれも昨季を上回った。同漁連の境真秋・業務部長は「販売額は目標を超えて生産者のみなさんは少しは安堵(あんど)されたと思う。だが、いまは国内全体の生産量が落ちて単価が高騰している状態。ノリを使った商品が値上がりしたり、ノリを使わなくなったりする、消費者のノリ離れがこわい」と話す。

 同漁連はこれまで植物プランクトンを食べる二枚貝を増やす事業に取り組んでいる。来季に向けて境部長は「現状は深刻。プランクトン対策を拡充するなど、できる限りのことはやらねばならない。生産量が足りていないので生産者の経営改善も必要だろう」と話した。(西田慎介)