【岩手】創設90周年を迎えた盛岡市水道の屋台骨を支えてきた米内浄水場(同市上米内)の一般公開が始まった。創設時に植えられた9本のヤエベニシダレヒガンザクラも咲きそろい、市民らでにぎわっている。5月6日まで。

 通常、浄水場に市民は入れないが、桜が開花する4月中旬から大型連休まで一般公開される。

 場内の桜は、シダレヒガンザクラが創設時の9本を含めて33本、ソメイヨシノ3本。今年は90周年を記念して、米内浄水場の桜を被写体にした「さくらフォトコンテスト」も実施される。

 今も現役施設として、約9万人分の水を供給する米内浄水場。創設当時から変わらず、濾過(ろか)砂と濾過砂の表面にできる生物膜を使う「緩速濾過方式」により浄水処理をしている。薬品などは使っていない。

 緩速濾過池や屋根がアール・デコ風のデザインの濾過池調整室、八角形で円窓がついた緩速出水井(しゅっすいせい)、以前は管理事務所だった水道記念館、側壁にれんがが貼られた沈殿池などは歴史的な価値が認められ、1999年に国の有形文化財に登録された。

 写真や資料を展示し、盛岡の水道事業の歴史を振り返る水道記念館も特別公開されている。

 伊藤健一場長は「浄水のやり方も90年前から変わらない環境に優しい浄水場。周辺には広大な水源かんよう林も広がっている。取水している米内川の原水もきれいで、市民自慢の浄水場だ」と話した。

 フォトコンテストのテーマは「こころを和ませる、色鮮やかで優美な花のカーテン」。5月10日締め切り。問い合わせは米内浄水場(019・667・2280)へ。(佐藤善一)