室町時代に能を大成した観阿弥とゆかりの深い三重県名張市が、能の文化振興を目的にふるさと納税型クラウドファンディング(CF)で資金を募り始めた。財政難の中、支援をお願いしたいという。

 同市は観阿弥が座を興した地とされる。毎年秋、市観阿弥顕彰会主催の「観阿弥祭」が観阿弥ふるさと公園(名張市上小波田(かみおばた))で開かれるなど、能文化が親しまれてきた。ただ財政難でこれまで続けてきた事業の見直しが進む中、市教育委員会文化生涯学習室の担当者は「少子高齢化もあって活動に関わる人が減り、このままでは地域の大切な文化が途絶えてしまう」と危惧する。

 CFは4月5日から始め、7月5日まで募る。目標額は100万円。その資金を活用し、11月にプロの能楽師を招いた、参加無料の名張能楽祭を開くほか、市立中学校で能楽師の出前講座を実現させたいという。

 税控除が受けられ、市外からの寄付には伊賀牛やぶどうジュース、まんじゅうなどの返礼品がある。申し込みはインターネットのサイト「さとふるクラウドファンディング」で。(小西孝司)