日系人初の米連邦議会議員で上院議員を長年務めたダニエル・イノウエ氏(1924〜2012)の功績を紹介する「ダニエル イノウエ ミュージアム」が、父方のふるさとの福岡県八女市上陽町に開館した。オープン初日の4月25日には多くの人たちが訪れ、イノウエ氏にまつわる展示品に見入っていた。

 イノウエ氏はハワイ州・ホノルル生まれの日系2世。祖父母と父が1899年、現在の八女市上陽町にあたる横山村からハワイに移住した。

 イノウエ氏がハワイ大在学中に第2次世界大戦が開戦。米陸軍に志願し、日系人部隊に配属され、イタリア戦線で右腕を失いながらも戦果を重ねた。

 1959年に日系人初の連邦議会議員(下院)に当選。その後、連続9期上院議員を務め、日米の架け橋として尽力した。2010年にはアジア系米国人としては最高位となる大統領継承順位3位の上院仮議長となった。2011年には日本政府から「桐花大綬章」が贈られた。ハワイ州ではその貢献ぶりから17年にホノルル国際空港が「ダニエル・K・イノウエ」国際空港に改称された。

 ミュージアムは市が約3億5千万円をかけて既存の「ほたると石橋の館」を改修して整備した。鉄筋コンクリート造り一部2階建てで、延べ床面積は約900平方メートル。

 常設展示室には1999年に受章した「勲一等旭日大綬章」をはじめ、オフィスで愛用した文具や食器など貴重な資料が並ぶ。米政界の重鎮に登り詰めたイノウエ氏の経歴や功績は年表形式のパネルで詳しく紹介。スライド写真や演説の動画を見ることができる。開館初日に来館した八女市内の主婦(77)は「名前のついた空港があるというのは知っていたが、すごい方でびっくりしました。もっと多くの方に知ってほしい」と話した。

 ミュージアムには、ハワイをモチーフにしたカフェがあり、マートでは地域の特産品を購入できる。開館時間は午前10時〜午後5時で水曜休館。入館無料。問い合わせは同ミュージアム(0943・24・8778)へ。(西田慎介)