自治体の水道事業が人口減少や施設の老朽化などの課題に直面するなか、北九州市と行橋市、苅田町が手を組んで対策に乗り出す。北九州市が2028年度から、渇水に悩む行橋市、苅田町に水を供給する。広域化によって安定供給を図るのがねらいだ。

 3市町が1日、基本協定を結んだ。北九州市が2市町への約15キロの送水管を整備し、28年度から1日計5220立方メートルを供給。36年度からは同9700立方メートルに増やし、行橋市の水需要の30%程度をまかなう計画だ。送水管の整備費(41億4200万円)は北九州市が起債でまかなう。

 県は22年度、水道事業を広域化した場合の地域ごとのプランをまとめた。協定の締結はプランの策定後で初めて。

 2市町の主な水源は県営油木ダム(添田町)で、夏場にかけて貯水量がたびたび低下。節水のため、圧力を抑えることもあり、水源を増やすことを検討していた。北九州市にとっても既存の浄水場を活用し、2市町に水が売れる利点がある。

 北九州市役所であった締結式で、武内和久市長が「渇水に強い北九州市のポテンシャル(潜在力)と両市町のニーズを組み合わせることで、3市町民にメリットが出てくる」、工藤政宏・行橋市長は「渇水リスクを低減でき、トータルでみると大きなコストメリットがある」と話した。(田中久稔、小島達也)