F1にタイヤを供給するピレリは、ウエットコンディションとなったF1第4戦日本GPのフリー走行2回目において、更新されたルールの欠陥が浮き彫りになったことを受けて、ウエットタイヤのレギュレーションの変更を検討するための協議をFIAおよびF1と行うことを求めている。

 日本GPのFP2が失敗に終わったのは、天候自体のせいではなかった。最近変更されたウエットタイヤの割り当てルールが見事に裏目に出てしまったため、ファンは失望し、ドライバーには最小限の走行時間しか与えられなかったのだ。

 F1は2024年に向けて、タイヤ使用の最適化を目的とした新システムを導入したが、新たなルールは鈴鹿に予期せぬ結果をもたらした。昨年は、セッションでインターミディエイトを使用したすべてのドライバーは、金曜日に追加でインターミディエイトを1セットを利用できるようになっていた。しかし今年、このルールは廃止され、レースウイーク全体においてインターミディエイトの数が制限されたため、必然的に各チームはウエットのFP2でインターミディエイトを使用することを躊躇した。

 こうしてインターミディエイトの使用に抵抗があったことが、いら立たしい状況へとつながった。ドライバーはセッションのほとんどをガレージで過ごし、スリックタイヤを履くのに十分なほど路面が乾くのを待った。コース上での走行が減ったことで、ファンはコースでのアクションを見ることができなかった。

 7度の世界チャンピオンであるルイス・ハミルトン(メルセデス)は、新レギュレーションへの反対をためらうことなく表明し、それらのせいでセッションがいかに非生産的なものになったか強調した。

「あのセッションができなかったのは残念だ」とハミルトンはFP2について語った。

「彼らはタイヤのルールを変えたので、誰もインターミディエイトで走らない。これは本当に意味がない。こういうことだよ」

 ピレリは、F1の改定されたシステムの欠陥を認識しており、FIAおよびF1チームとの緊急の話し合いを求めている。金曜日の状況の再発を防ぎ、今後は予測不可能な気象条件の下でもアクションに満ちたセッションを確保するべく、さらにルール調整を行うことを検討するためだ。

 ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベラは、「このルール変更については、当然ながらFIAとF1およびすべてのチームによって投票が行われた」と説明した。

「もちろん今では、昨年のようにフリー走行で使用したインターミディエイトを1セット返却する必要はない」

「特にこのコースはデグラデーションのレベルが高いと言える。それに日曜日に雨が降る可能性があったことを考慮し、RBやアウトラップとインラップを行った他のチームを除き、ほとんどのチームは5セットを未使用のままにしておくことに決めていた」

「FIAやチームとさらに話し合い、フリー走行でドライバーを走らせる方法を見つけていくつもりだ。これは我々の最終決定ではないが、今後数週間のうちに議論の議題になるだろう」

 ウエットコンディション下のフリー走行セッションで走るようチームに動機を与えるために、ベラは、レギュレーションに簡単な調整を加えることを提案。ウエットと宣言されたセッションの後に、すべてのチームがインターミディエイトタイヤを1セット返却することを義務付けることを提言した。

「最初から5セットをキープできるが、セッションがウエットと宣言された場合は、1セットのインターミディエイトを返さなければならない。そうなると、使っていない新しいセットを返すことに意味がなくなる。そうすることで、彼らに走るよう促すことができる」