5月16日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で開催される伝統の一戦『第108回インディアナポリス500マイルレース』は走行三日目を迎えた。8時間の走行時間がとられたプラクティス4では、アロウ・マクラーレンのパト・オワードがトップスピードをマーク。自身3度目のインディ500勝利を狙う佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は総合23番手となった。

 14日(火)の走行初日、プラクティス3が行われた前日の15日(水)と連日雨に見舞われたインディアナポリスだったが、走行三日目となった16日は朝から晴天に恵まれた。ただし、10時から18時までのセッション終盤にはふたたびトラックを降雨が襲う。このためプラクティス4は予定より13分早く終了している。

 また、この日は大きなアクシデントも発生。ルーキーのリヌス・ルンドクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)がIMSの洗礼を浴びたほか、2022年のインディ500ウイナーであるマーカス・エリクソン(アンドレッティ・グローバル)もクラッシュを喫した。なお、幸いどちらのドライバーも怪我はないと報告されている。

 ターン2でグリップを失いウォールにヒットしたルンドクヴィストのマシンは、コースを横断しイン側の壁にも軽く接触して止まった。このアクシデント以降、彼は周回を重ねることができなかったが、総合7番手となりルーキーでは最速となった。

 エリクソンの事故は午後になって起きた。ターン4でスピンを喫しバリアに接触した後、コントロールを失った状態でピットレーン入口の衝撃緩衝材にクラッシュした彼のマシンも大きなダメージを負った。一昨年のインディ500王者はこの段階でプラクティス4の走行を取りやめ、アンドレッティのチームは明日以降バックアップカーを使用することを確認した。

 これらのアクシデントによって合計68分間の中断を挟んだセッションでトップスピードを記録したのは、アロウ・マクラーレンから出場するオワードだった。チーム・ペンスキーが開幕戦で行った不正が発覚した後、繰り上がりで同レースのウイナーとなった25歳のメキシコ人ドライバーは、先行車のトウ(スリップストリーム)を利用し228.861mphをマーク。ベストタイムは39秒3252だった。

「予想外の素晴らしいトウラップを記録できた」とベストラップを振り返ったオワード。

「クルマには満足している。レースを意識した走行をし、予選シミュレーションもした」

「もちろんスピードが違うから、(明日のファスト・フライデーで)ブーストが上がったときに完璧に反映されるとは限らない。けれど、もし明日また雨が降ったとしても、少なくともこのクルマがトリムレベルで何をしたいのかを少しは感じ取ることができた」

 オワードに続く2番手は、前日最速のスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)でトップスピードは227.316mph。3番手には前戦のIMSロードコースでポール・トゥ・ウインを飾ったアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)が入った。

 トウなしの最速となったコルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル・W/カーブ・アガジャニアン)が4番手。ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・W/マルコ&カーブ・アガジャニアン)が続く結果となっている。

 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに復帰した佐藤琢磨は、この日は後方の23番手に沈んだ。ベストスピードは223.435mph、ベストラップタイムはトップと0.9550秒差の40秒2802だった。

 第108回インディ500の次回のセッションは、エンジンパワーが約100馬力アップする予選のブーストレベルで走行する“ファスト・フライデー”だ。このプラクティス5は17日正午から18時(日本時間18日1時から7時)まで行われる。