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 今季のロサンゼルス・ドジャース大谷翔平選手の打撃に、昨季までとは1つ大きな異変が現れている。MLB全体でみて、2021年は4位だったある指標が、今季は、5月5日終了時点でなんと79位タイまで低下している。これは何か…多くの人が気づいていないこの「異変」こそが、大谷選手の進化を示しているのかもしれない。
 

 
 以下は、ロサンゼルス・ドジャース大谷翔平選手に関する、とある成績のMLB全体での順位だ。驚くべき低下ぶりだ。
 

 
2021年:4位 2024年:79位タイ(現地時間5月5日終了時点)
 
 この指標は何か?ホームラン、打点、打率…どれも当てはまるはずがないし、今季の課題とされている得点圏打率でもない。
 
 実は、これは三振の数なのだ。36試合を消化した同時点での大谷選手の三振数は30にとどまっている。このペースでいくと、162試合換算でみたシーズン終了時の三振数は135と、2021年(189)から3割近く減少する。
 
 過去のシーズンと今季ではどのような変化があったのか。今季の大谷選手の打撃の変化について見てみよう。

三振が減ったその理由とは…

 
 以下の大谷選手のMLB入り以降のK%(打席あたり三振数の割合)の推移をみると、三振の減少傾向がさらに明らかになる。なお、2024年の数字は、以降も同じく、現地時間5月5日終了時点のものを前提とする。
 

 
 2021年までは20%台後半の推移を続け、初めてMVPを獲得した2021年には30%近い数字に達していた。2022年〜23年も24%前後で推移していた。
 
 このK%が今季に入り大幅に低下、2024年は、前年を5ポイント以上、2021年比で10ポイント以上下回る18.4%を記録している。この数字は、米分析サイト『Fangraphs』記載の予測値を下回る水準だ。
 
 この予測値自体、開幕直後では22.7〜24.7%の数字が5月5日時点では21.4〜24.2%となり、大谷選手の現状をみて若干修正された可能性が高い。
 

 
 では、なぜ三振数が大幅に減っているのか。球種別にはチェンジアップを中心とするオフスピードのボールに対し、コース別には外角の真ん中〜高めに対し空振りや三振をしにくくなったことがうかがえる。
 
 米分析サイト『Baseball Savant』のデータからは、3球種区分(ファストボール、ブレイキングボール、オフスピードボール)別にみた大谷選手の空振り率は以下に推移している。
 

 
 2021〜2024年にかけて、オフスピード系の球種(スプリット、チェンジアップ、フォーク、スクリュー)の空振り率がほぼ半分になっている。
 
 この低下傾向は、MLB入りした2018年からさかのぼってみるとより明らかだ。2018年は50%近い数字を示し最も空振りしやすかったオフスピード系が、2024年には最も空振りしにくい球種になっているのだ。
 
 他の2球種区分に関しても、2023年に一旦上昇しているが、2021〜2024年でみると低下傾向にある。
 
 詳細な球種区分でみると、特に2023〜24年にかけてのチェンジアップに対する空振り率やK%の低下が目立つ。2021〜2024年の間のこれらの指標の推移は以下のとおりである。
 

空振り率:36.6%→30.5%→32.6%→19.2%
K%:29.3%→23.0%→19.4%→13.3%

高い修正能力も一つの要因?

 
 コース別には外角球、特に外角高めに対し空振りや三振をしにくくなったのが特徴である。『Baseball Savant』のデータに基づき、K%が30%近かった2021年と2024年を比較すると、外角球、特にボール球を含む外角高めの空振り率やK%が大幅に低下している。
 
 2021年は43%を記録した外角高めのストライクコースのK%は、2024年は0%だ。外角低めのストライクコースの空振り率およびK%が20%ポイントを上回る低下をみせている点も見逃せない。
 

 

 

 
 空振り率やK%の低下を反映している可能性のある指標が、打球の種別である。2024年は、ライナーの割合が前年比+12.1ポイントの34.8%とMLB入り後最高を記録した。
 
 ゴロの割合も同じく34.8%だが、前年比△7.8ポイントで推移しMLB入り後最低となった。フライ(ポップフライを除く)の割合も前年比△3.3ポイントの27.0%で、2021年以降では最低となっている。
 

 
 空振り率やK%の低下、さらにこれらに起因する三振の減少の背景を考えると、大谷選手が投手の攻めに対応してスイング軌道自体を変えて今季に臨んでいる可能性が考えられる。
 
 特に2021年はホームラン狙いで下から上にすくい上げるアッパースイングが中心だった結果、外角高めのファストボールや外角低めのチェンジアップの空振り率が高くなり、三振が増加した。
 
 2024年はこの攻めに対応すべくスイング軌道を修正した結果、外角の高低で空振りしにくくなって三振が減るとともに、ライナーの割合が高まったことが考えられる。簡単に言うと、確実に強い打球を打つための修正が行われた可能性が高い。

打率向上で日本人初の3冠王も現実に…?

 
 三振の減少に合わせ上昇している指標が打率だ。2021〜2024年の大谷選手の打率は.257→.273→.304→. 364と推移し、3年間で1割以上の上昇を示している。
 
 大谷選手の三振の減少が示すものは何か。1つの型の打撃で終わりではなく、投手の攻めの変化に対応するために常に打撃の改良を続け、いまだに打撃が成長している証なのかもしれない。
 

 
 さらに、チームに実力のある打者が揃い勝利が要求されるロサンゼルス・ドジャースに移籍した今季は、チームバッティングの意識が高まっていることも影響しているだろう。
 
 5月5日のアトランタ・ブレーブス戦での4打数4安打2ホームランの結果は、現時点における大谷選手の打撃の進化の集大成といえるかもしれない。
 
 一方、4月30日にアリゾナ・ダイヤモンドバックス投手陣が3三振を奪ったように、投手も大谷選手への対策をさらに研究してくるはずだ。今後大谷選手がどう対応していくかも見ものである。

 
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【了】