「開幕してから感覚よく投げられています」。

 昨年のシーズン途中からストレートの強さを求めて取り組んできたロッテ・秋山正雲は、感覚よくストレートを投げ込めている。

 今オフは「今はチームに求められているというか、球速を上げることを目的としてやっているので、(球速を)上げるための下半身の移動だったり、移動する速さを求めてやっています」とストレートを磨き、春季キャンプに向け「できれば球速を上げてキャンプに行きたいので、そういう部分を見せていきたいですし、球速を上げようとして力が入ると、高めにボールがいったりしてしまうので、それを抑えながら低めは強いボールをアピールできたら良いなと思います」と意気込んだ。

 2月7日に行われた石垣島春季キャンプ第2クール初日にライブBPに登板。秋山はライブBPでのストレートについて「良かったと思います。(ストレートに強さが)出てきたと思いますね」と手応え。

 秋山の球を受けた柿沼友哉も「フェニックスでもインコースを食い込んできたいと話していて、その中で強さを出していきたいと思っていると思うんですけど、強さを出しながらインコースに投げ込むというところは、できている感じはしましたね。逆球とかもあまりなかったので、やりたいことができている感じがしました」と評価した。

 3月20日の巨人とのオープン戦では、3年目にして初めて一軍のオープン戦に登板。0−6の7回に登板した秋山は1イニング・12球を投げ、実に9球がストレートのパワーピッチングで無失点に抑えた。

 0−6の7回二死二塁で佐々木俊輔を1ストライクから2球目122キロチェンジアップで見逃し、最後は138キロ外角ストレートで見逃し三振に仕留めたのは、緩急を使った素晴らしい投球だった。

 本人は「良かったんですけど、その前の選手に自分の持ち味であるインコースの真っ直ぐを打たれているので、あっちの方が気になっていました」と、二死走者なしから泉口友汰にインコースのストレートをライトフェンス直撃に弾き返されたのが気になったという。

 「ライトのフェンス直撃に打たれたストレートは、自分の中ではベストボールだと思ったんですけど、それでもしっかりフェンスまで運ばれてしまった。一軍に行くとああいう選手ばかり。ファームでは自分のベストボールを外野まで持ってかれないような意識でやっています」。

 オープン戦での経験が「試合の内容、結果がいきています」と現在の秋山の投球に繋がっている。

 4月2日の巨人二軍戦は3回2失点も、3−11の6回先頭の中山礼都を2ストライクから外角142キロストレート見逃し三振、3−11の6回二死走者なしでティマを1ボール2ストライクからインコース142キロストレートで見逃し三振に仕留めたストレートは良いボールだった。

 ストレートに関して秋山は「その時もそうですし、最近もいいですね」と手応え。「ボールの勢いとかバッターの振っているファウルのなり方は感覚的には良い感じになっています」と取り組んできたことが徐々に形になってきている。

 ストレートもそうだが、チェンジアップも「自分の理想の中には近づいてきている。真っ直ぐが今の状態であればチェンジアップも効いてくるのかなと思います」と好感触を掴む。

 秋山は一軍昇格に向けて「結果を出し続けること」と話していたが、4月19日のヤクルト二軍戦から現在6試合連続で無失点(9イニング、5被安打、5奪三振、与四球2)に抑えている。14日の西武二軍戦も安打を打たれたが、1回を無失点に抑えた。

 「今は先発とか考えていなくて、投げる場所、与えられた場所で、しっかり自分のボールを投げることだけ考えています」。

 「自分の持ち味を出しつつチームの勝ちに繋がるように頑張りたいです」。

 いつ一軍に呼ばれてもいいように、ストレートの強さを磨き、ファームで結果を残していく。

取材・文=岩下雄太