第2シードで迎える夏



昨秋のV校・桐光学園高は準々決勝で敗退した。主将・森[右端]は悔しそうな表情を浮かべていた[写真=田中慎一郎]

【4月28日】
春季神奈川県大会準々決勝(保土ヶ谷)
東海大相模高8-5桐光学園高

 無抵抗では、終わらない。

 昨秋の県優勝校・桐光学園高は最後まで食らいついた。東海大相模高との準々決勝。3対8の9回表。先頭打者が敵失で出塁も、次打者が一ゴロ併殺で二死走者なし。あとがなくなった。ここで、この日無安打の主将の二番・森駿太(3年)が中前打。三番・中村優太(3年)の右中間二塁打で1点をかえすと、なおも、四番・中川拓海(3年)の3安打目となる中前適時打で二走・中村が生還した。看板の強打で、意地を見せたのである。

 次打者が一ゴロで万事休すも、1万6000人の大観衆を集めたサーティーフォー保土ヶ谷球場の観衆に、桐光学園高の底力を見せた。

 昨秋は関東大会8強進出。今年1月のセンバツ選考委員会では惜しくも選出されず、関東地区「補欠1位校」となった。チームの合言葉である「夏の甲子園で全国制覇」に向けて再始動。低反発と言われる新基準の金属バットでも「外野の頭を越す打球」を徹底し、フィジカルを鍛えてきた。上位から下位まで、パワフルなスイングは圧巻。準々決勝では11安打中、長打6本(すべて二塁打)と強力打線の片りんを見せつけている。


打線は活発なだけに、エース右腕・法橋の出来が浮沈のカギを握る[写真=田中慎一郎]

 伝統の堅守も健在。夏浮上へのテーマは。最速143キロのエース右腕・法橋瑛良(3年)の奮起によるところが大きい。先発した準々決勝は5回5失点と試合をつくれなかった。「自分のせいで負けた」と、試合後は涙を流した。とはいえ、186センチの長身からのストレートにはスピード表示以上の球威があり、夏本番へ状態を上げてくることだろう。

 NPBスカウト注目の強打内野手である主将・森は決意を込めた。

「何が何でも(夏は)一番を獲る。野球以外の私生活の部分も見直していきたい」

 捕手・中村、二塁・白鷹悠人(2年)、遊撃・鈴木真心(3年)、中堅・矢竹開(3年)とセンターラインが固まっている。打線も一番・矢竹から森、中村、中川、五番・白鷹と鋭いスイングを見せる。打線の切れ目がない。

 第2シードで迎える夏。桐光学園高は2年生エース左腕・松井裕樹(パドレス)を擁した2012年以来の甲子園を目指す。激戦区・神奈川において全国レベルにあり、V候補の一角に入ってくることは間違いない。

文=岡本朋祐