立大から今季2つ目の勝ち点



明大の四番・横山は立大3回戦で、リーグ戦初本塁打を放った。試合後、ホームランボールを手に笑顔を見せる[写真=矢野寿明]

【5月14日】東京六大学リーグ戦(神宮)
明大7-1立大(明大2勝1敗)

 粘りのメイジ、本領発揮である。

 明大は立大1回戦で先勝を許した。開幕カードの東大戦を連勝で勝ち点1も、早大戦は1勝2敗で落とした。仮に優勝ラインを「勝ち点4」と設定すると、残り3カードは一つも落とせない。しかも、勝ち点4で並び、勝率での勝負となった場合を想定すると、一つの負けも許されない状況へ追い込まれていた。

 立大戦は主将・宗山塁(4年・広陵高)が、上半身のコンディション不良のため欠場。2024年のドラフト候補の「超目玉」と評価され、不動の「三番・遊撃」という、攻守の要を欠いての試合は当然、難しさがあった。

 だが、ここで簡単に終わらないのが「人間力野球」で鍛え上げてきたイノシシ軍団の底力である(明大のユニフォームの左袖にはイノシシのワッペン。かつて明大を計37年率いた島岡吉郎元監督が生まれた1911年の干支に由来し、同元監督の退任後は外していたが、亥年の2019年に約30年ぶりに復活した)。

 立大2回戦で1勝1敗のタイとすると、雨天中止の中1日を挟んで、3回戦は投打で圧倒した明大が、今季2つ目の勝ち点を挙げた。


副将の一番・直井は3カードを終えてリーグ3位の打率.429と打撃好調である[写真=矢野寿明]

 全員で主将・宗山の穴を埋めている。まずは、副将の3人。一番・中堅の直井宏路(4年・桐光学園高)は責任感が強く、打率.429(リーグ3位)と打線をけん引。二番・飯森太慈(4年・佼成学園高)も打率.333と出塁率の高い上位打線を形成している。控え捕手の中山琉唯(4年・常総学院高)は出場機会こそ限られているが、ブルペンでの投手陣の調整役や、ベンチワークで尽力。さらには、開幕から四番に入っている横山陽樹(4年・作新学院高)は立大3回戦でリーグ戦初本塁打と、最上級生が意地を見せている。

3年生以下も自覚十分



宗山の代わりに三番に入る3年生・小島はリーグトップの打率.464、同2位の13打点と勝負強さを見せている[写真=矢野寿明]

 3年生以下も、自覚十分だ。宗山に代わり、三番に入る小島大河(3年・東海大相模高)は立大との3試合で12打数6安打と勝負強さを発揮。リーグトップの打率.464、同2位の13打点と存在感を見せている。宗山の代役として遊撃で先発した光弘帆高(3年・履正社高)は、3試合で10打数3安打、守りでは失策0と懸命なプレーで貢献している。

 投手陣は開幕以降、四死球が課題だったが、立大3回戦では4投手によるリレーで、計2四死球と成果を収めた。2回戦では先発の右腕・松本直(2年・鎌倉学園高)が5回無失点、3回戦では初先発した左腕・毛利海大(3年・福岡大大濠高)が5回1失点の勝利投手で、いずれもリーグ戦初白星を挙げた。4年生の主戦である右腕・浅利太門(4年・興國高)が復調してきたのも明るい材料だ。

 第5週の立大戦で勝ち点を挙げた明大は、第6週の慶大戦、第7週の法大戦と連続3カードが組まれている。体力勝負、消耗戦こそ、選手層の厚い明大が得意とするところだ。精神的支柱の主将・宗山は25人の登録選手に入っており、ベンチで常にメンバーを鼓舞し。昨春以来の天皇杯奪還へ、メイジ伝統の「人間力野球」の真価が問われる。