お得に聞こえる名前とは裏腹に、「無料車検」は一部のライダーにとっては恐ろしいもの。無料車検とはどのような内容で、何を「検査」しているのでしょうか。

バイクに乗れなくなることもあるって本当?

 250ccを超えるバイクに乗っている人にとって、2年に一度の車検にかかる費用は大きな負担になります。そのため、車検のタイミングでバイクを手放す決断をする人も少なくないでしょう。

 そんな車検代に苦しむライダーにとって、「無料車検」というキーワードは魅力的に聞こえるかもしれません。しかし無料車検は、名前のお得感とは裏腹に、一部のライダーにとっては厄介な存在です。

 無料車検とは、どのような内容なのでしょうか。

「無料車検」は一般的な車検とは違う
「無料車検」は一般的な車検とは違う

 無料車検というのは、運輸支局や警察がおこなう特別街頭検査の俗称。街頭検査はバイクやクルマを対象に、保安基準に適合しているかどうかを抜き打ちで検査するものです。

 この検査は不正改造車が集まりやすいパーキングエリアやツーリングスポットで不定期に実施されているため、よくツーリングに行く人であれば見かけたこともあると思います。

 車検整備における「検査」の部分を勝手におこなってくれることから、無料車検という俗称がついた特別街頭検査ですが、具体的にはどのような点を検査しているのでしょうか。

 バイクの場合、主に排気音の検査が主流。もちろん他の保安基準について検査されない訳ではありませんが、排気音に関する苦情の多さやマフラーのカスタム人気を考えると、真っ先に確認されるのが排気音であることも納得です。

 排気音測定の際は、近接騒音測定という方法が採られており、近接騒音測定では、測定器をマフラー端から後方45度の同じ高さの50cm離れた位置に設置し、バイクの最高出力回転数が5000回転を超える場合には、半分の回転数にして測定します。なお、最高出力回転数が5000回転以下のバイクは、その75%の回転数にして測定されることになるので覚えておきましょう。

無料車検というのは、運輸支局や警察がおこなう特別街頭検査の俗称
無料車検というのは、運輸支局や警察がおこなう特別街頭検査の俗称

 音量の基準は50cc以下の原付一種が「79dB」、125cc以下の原付二種は「85dB」、250cc以上は「89dB」を超えない事とされています。ちなみに、音量のわかりやすい例として、パチンコ店内の騒音は80dB、カラオケ店の室内は90dB程度と言われています。

 なお、バイクに比べてエアロパーツや車高調などのカスタムが盛んなクルマの場合は、マフラーの音量や触媒の有無、灯火に加えて、タイヤ回転部分の突出や車高の高さ等が検査される傾向。

 検査において整備不良と見なされると整備命令書を渡されますが、整備命令が発令された場合、15日以内に整備し、基準を満たした車両を運輸支局に提示する必要があります。

 なお、整備命令書を無視すると、車両の使用停止命令が発令され、最大で6か月の間、ナンバープレートや車検証が没収される場合があるので要注意。

 万が一整備不良と見なされた場合、そのバイクに乗り続けるためには、必ず保安基準を満たした状態に戻す必要があります。

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 無料車検と聞くと、まるでお得なサービスのように聞こえますが、実際は整備不良のバイクを取り締まる街頭検査の俗称です。街頭検査で引っかかってしまうことを避けるためにも、マフラーや灯火類のカスタムをする際は、保安基準に適合したものを使用することが重要。

 カスタムの際は信頼のおけるショップに相談し、かならず基準に適合した商品を購入するようにしましょう。