MotoGP第2戦ポルトガルGPの開催地、アウトドローモ・インターナショナル・アルガルベを取材のために訪れました。コースサイドからパドックまで、歩き回った様子をレポートしたいと思います。
晴れていれば素晴らしい風景、パドックでは電動化が進んでいた
MotoGP第2戦ポルトガルGPが行なわれるアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベは、わたし(筆者:伊藤英里)が個人的に好きなサーキットのひとつです。その風景が、という意味で。
丘陵に囲まれたサーキットは、その風景にふさわしくアップダウンが激しく、ブラインドコーナーが多い、難しいコースだと言われています。青い空の中を突っ切るようにコースを上り、下るライダーの走りが、不思議なコントラストを醸し出すのです。
ただ、2024年シーズンも取材のために訪れたポルトガルGPの風景は、少しばかり期待したものとは違っていました。週末、天候があまりよくなかったのです。木曜日には雨が降り、金曜日以降は雨こそ降らなかったものの、結局、目にまぶしいほどの青空を見ることができませんでした。天気ばっかりは、仕方ありません。
そんな曇天の下、今回もわたしは、ぶらぶらと歩き回りました。
金曜日午後のMotoGPクラスのプラクティスの時間には、ライダーの走りを見るべく、コースサイドにも足を運びました。5コーナー出口付近の外側で見ていると、MotoGPクラスのライダーが何度も通過し、時にはオーバーランしたりして走り去ります。
5コーナーは入り口が下っていて、立ち上がるとともに上り坂になっています。見ているだけでも、テクニカルなコーナーだろうな、とわかるほどです。
そうするうちに、マルク・マルケス選手(ドゥカティ)の転倒が目に飛び込んできました。マルケス選手は、グラベルを歩いてピットに戻るためのスクーターを待っていました。
この5コーナーは、マルケス選手が土曜日のスプリントレース最終ラップで、ホルヘ・マルティン選手(ドゥカティ)をパスした場所です。そしてまた、日曜日の決勝レースで、フランセスコ・バニャイア選手(ドゥカティ)とマルケス選手が接触、転倒したコーナーでもありました。
もちろん、パドックもぶらぶらと歩きます。むしろ、わたしにとっては、取材のために最も歩き回るのがパドックです。
開幕戦のカタールからヨーロッパのポルトガルに移動して、パドックも、ヨーロッパで開催されるグランプリの光景である、大型トレーラーと移動式豪華ホスピタリティが立ち並んでいます。何度見ても、パドックに並ぶものが移動するのが信じられません。特にホスピタリティは、それほど大きいのです。
ちなみに、2024年からパドックを走るバイクは電動バイクのみが許可されることになりました。これは、ヨーロッパのMotoGPにのみ適用されます。
年々、パドックの移動に使われるバイクは電動化が進んでいたのですが、こういうわけで、どこを歩いても見かけるのは電動スクーターばかり、という状況になりました。
現状の電動スクーターの役割としてはアリだろう、とは思います。しかし、音が静か過ぎるのはいただけません。おまけに、走る方はいいスピードを出しています。後ろから追突されまいか、とひやひやしながらパドックを歩きました。
これは公道を走る電動バイクにも当てはまることで、つまり、電動バイクはエキゾーストノートやエンジン音がないため、周囲に音によって認識されづらいという状況があります。
パドックを走るのが電動スクーターばかりになるのはかまわないけれど、音の対策をして欲しい……4日間にわたってポルトガルGPのパドックを歩いた感想です。
シーズン中に何らかの対策がとられるのか、それとも電動スクーターに乗る側が配慮した走りになっていくのか。動向を追いかけていきたいと思います。