近年、猫の飼い主さんの間でハマる人が続出しているのが、猫に顔をうずめて息を吸う「猫吸い」という行為。

猫の体はお日様や焼き立てパンのようないい匂いがすることから、リラックスやストレス軽減、幸福感を高める効果があると言われています。しかし、それはあくまで人間の側から見た利点。吸われている側の猫の気持ちを想像したことがある人は意外と少ないのではないでしょうか。

タイで黒猫のウニちゃんと暮らしている飼い主さんは先日、お腹を吸った後の猫の顔を撮影してSNSに投稿。写真には猫がどんな気持ちで吸われているのか、そのヒントとなる、次のような一言が添えられていました。
「お腹吸わせてもらってたんだけど、ふと顔を見たら虚無ってた。」

「虚無」とは、むなしいことを意味する言葉。この世に存在するすべてのものに価値や意味を認めず、空虚に感じること。確かに猫ちゃんの顔を見ると、魂が抜けてしまったみたいに「何もかもがどうでもいい」そんな精神状態が伝わってくるかのような表情をしています。

飼い主さんが嬉々として吸っている間、猫は何の意味や価値も感じないまま横たわっていた……。そのギャップを思うと何とも切ない気持ちになってしまいますが、そんなことでいちいち落ち込んでいたら猫飼いは務まりません。「猫が虚無っていようが、自分は猫の生気をたっぷりと吸って日々の疲れを癒やし、明日への糧とするのだ。」それくらいのポジティブマインドを持って生きていきたいところです。

では、ウニちゃんの飼い主さんは普段どのように猫を吸い、今回の虚無顔を見てどのように感じたのでしょうか。

ご本人に聞いてみると、毎日何かしらの理由をつけてウニちゃんの体を吸ったり、顔を擦り付けたりしているのだそうで、「吸う時間は毎回20秒ほどですが、猫を吸っている時の気分は最高ですね。ゴロゴロと喉を鳴らしてくれるので、その音と相まって最高に落ち着きます。」と重度な猫吸い常習者であることを告白。この日はベッドでゆっくりしていたところ、ウニちゃんがノコノコとやってきてお腹を見せ「撫でろ」とせがんだことから、写真を撮りつつ遠慮なく吸わせてもらっていたと言います。

しかし、いつもよりゴロゴロ音が小さいことが気になった飼い主さん。「どうしたんだろう?」と思ってふと顔を上げると、そこにあったのが件の虚無顔。あまりにも虚ろな表情だったことから、「今まで喉を鳴らして嬉しそうに吸わせてくれていたのに、もしかして今まで演技でやっていたのか?それとも今日は単に面倒くさい気分なのか?」と思わず疑心暗鬼になってしまったのだとか。