印旛沼流域で繁殖し、農業への被害や生態系への影響が懸念される特定外来生物の「カミツキガメ」の根絶に向け、千葉県は毎年恒例の捕獲事業を始めた。17日、佐倉市内で本年度初めてわなを回収し2匹を捕獲した。生息数は減少傾向にあるとされるが、捕獲を止めるとすぐに繁殖するため、県生物多様性センターは「積極的な駆除を続けたい」としている。

 カミツキガメは北米や南米が原産地で、体長約50センチ、体重約35キロまで成長する。長い首と鋭いくちばしが特徴で、かみつかれると大けがをすることもある。1960年代にペットとして輸入されたものが捨てられ、印旛沼流域で急速に繁殖したとみられる。2005年に国が特定外来生物に指定したことを受け、県は07年度から捕獲事業を開始した。

 県の推計によると、印旛沼流域でのカミツキガメの生息数は2015年度の約1万3千匹をピークに、23年度は約9千匹まで減少。捕獲頭数は18年度の約2千匹が最多で、以降は1500匹前後で推移している。

 この日は、今月15日に佐倉市内に仕かけたわなを確認したところ、2匹がかかっていた。体長は約10センチと約15センチで、例年に比べ小型という。

 捕獲作戦はカメの活動期である6、7月に集中的に実施し、9月まで印旛沼水系の広範囲で展開する予定。本年度は捕獲頭数目標を1350匹以上としている。同センターは「かみつく恐れがあるので、見つけた場合は捕まえようとせず、地元の市町村や警察に連絡してほしい」と注意を呼びかけた。