映画「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン監督)の公開記念トークイベントが6日、東京都内で行われ、原田眞人監督と森達也監督が参加。森監督は「反戦映画であり、反核映画。今の世界にとっても大事な映画」と語った。

 第2次世界大戦中に米国で原爆開発を率いた科学者の伝記映画で、アカデミー賞作品賞などを受賞。原田監督は「歴史に名を残した人物の栄光と挫折を描いた映画」をいくつか挙げ「『オッペンハイマー』はその系列に属し、その中でも最高峰の1本。興奮しながら見た」と絶賛した。

 同作では原爆が落とされた広島や長崎が描かれていないとの批判があるが、森監督は「しっかり描いている。間接話法と直接話法がある」と反論。「(ロシア大統領の)プーチンが核兵器の使用をほのめかした時に核抑止理論は崩壊したと思う。日本はいまだに核兵器禁止条約に批准すらできない。この映画で広島、長崎(の描写)が足りないと怒るのであれば、むしろ、そちらの方に声を上げるべきじゃないか」と主張した。